東京五輪でソフトボールと野球の会場になった福島県営あずま球場。周囲にはのぼり旗が立ち、五輪ムードを盛り上げる(福島市) 「復興五輪」を理念とする東京五輪を、福島の被災者はどう思うのか。昨年12月。野球・ソフトボールの会場となる県営あづま球場から約7キロ離れた福島市の復興公営住宅を訪ねた。 4階建て鉄筋コンクリートの建物にはエレベーターもあり、整然としている。「私たちには関係ない」「何とも思っていません」。住人に声を掛けても言葉は少ないが、飯舘村出身という男性(75)が、思いを打ち明けてくれた。 「オリンピックに合わせて国は(復興に)区切りをつけるという考え方なんでしょ」。東日本大震災後、居住制限区域になった自宅を離れ、避難生活は8年を超える。3年ほど前からこの復興住宅で妻と暮らす。団地内には交流スペースもあって不便はないが、望郷の念は積もる。 かつてソフトボールのチームを作るほどスポーツは