「パブリッククラウドサービスに既存システムをそのまま移行してコストが大きく下がるのは、オンプレミス(自社所有)環境のインフラに無駄があるケース。コスト削減に努めてきたなら、クラウド移行の目的には含めないほうがいい」。 Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどのクラウドの導入支援を行うコンサルタントから聞いた言葉だ。1人ではない。過去に取材した複数のコンサルタントに、そう指摘された。 クラウド移行でコスト削減を期待するユーザー企業は多いだろう。しかし実際には、クラウドを導入したユーザー企業の多くはコスト削減を目的としていない。総務省が2015年末に実施した「通信利用動向調査」では、クラウドサービスを利用している理由として「既存システムよりもコストが安いから」を挙げた割合は22.7%で全体の7位にとどまる。1位の「資産、保守体制を社内に持つ必要がない