安倍晋三首相が政権の座にあった約7年8カ月間は、日本とつながりを持つ外国ルーツの人々と日本社会の摩擦がクローズアップされた時期でもあった。技能実習生など日本で働く外国人の非人道的な扱い、極端に低い難民認定率、社会的問題に声を上げる外国系の人々に集中するネット上での批判--。社会で強まる非寛容な姿勢や排他的傾向と、政権の姿勢は関連しているのだろうか。難民や移民の問題に詳しいフォトジャーナリスト、安田菜津紀さん(33)の見方を聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】 議論避けた外国人労働者受け入れ政策 ――安倍政権の移民・難民政策をどう受け止めていますか? ◆適切な議論を回避し、自らの方針を押し進めようとする傾向があったと思います。その一例が、外国人労働者の受け入れ拡大を巡る対応です。 出入国管理及び難民認定法などの改正を巡る議論が国会で進んでいた2018年後半、外国人技能実習生の人権侵