「次はー…ラー、…テマラでー、ございます。」 足音で目が覚めた。 見ると車両から降りる人々で出口に列ができ、僕と皆川さんはそれをおだやかに見つめていた。降りなければいけないのだろうか?しかしこの電車は山手線だし、池袋に着くにはまだ早い。睡眠不足の頭でぼんやり考える。 「ねえ、---くん。山手線に終点なんてあったっけ?」 もちろん山手線に終点は無い。山手線はぐるぐる回っているからみんな一斉に降りていく瞬間なんて無いはずだ。徹夜明けで課題を完成させた僕にもそのくらいはわかる。 「次はー、グアテマラー、ご乗車になる際は、お手元にパスポートを、お持ちください。」 「グア…!?降りよう!---くん、降りなきゃ!」 皆川さんが大学に提出する巨大なオブジェを抱えて僕の手を引っぱろうとした時、ドアは閉まりきった。 そして僕らのグアテマラ行きが決まった。 2020年のオリンピックはいろんな意味で日本をすっか
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