東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、視覚障害者の男性が駅ホームから転落、死亡した事故から十五日で一カ月。日本盲人会連合(日盲連)と東京都盲人福祉協会は視覚障害者を対象に、都内の危険な駅とその理由について、緊急アンケートを実施した。結果を見ると、ホームがカーブしていて到着電車とすき間があったり、ホームの両側に線路があったりと、転落の危険がある駅の構造の特徴が浮かび上がった。 (谷岡聖史) アンケートは八月三十一日~九月五日、点字新聞の読者らを対象にした。全盲や弱視などの五十七人が回答し、具体例として都内の五十五の駅名が挙がった。 最も多く指摘されたのは、電車とホームとのすき間が広い所。線路がカーブしている場所にあるJR飯田橋駅や京王線下高井戸駅で、回答者が転落の危険を指摘していた。また、JR山手線と京浜東北線がある田端駅や、東京メトロと都営地下鉄が乗り入れる日比谷駅のように、ホームドアのある路線
東京都港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、盲導犬を連れた世田谷区の会社員品田直人さん(55)がホームから転落、電車にはねられて死亡した事故で、東京視覚障害者協会の会員らが十八日、現場を訪れて調査した。 視覚障害のある四人が東京メトロ社員から事故の説明を受けた後、ホームの点字ブロック上を歩いた。今回の調査結果に基づき事故防止策をまとめ、東京メトロに提言する考え。 同駅にはホームドアはなく、点字ブロックに一部がかかる形で柱が設置されている。盲導犬を連れて歩いた副会長の田中章治さん(70)は「点字ブロック上に柱があればぶつかって方向感覚が狂う。こういう駅こそ優先的にホームドアを整備してほしい」と訴えた。
東京メトロ銀座線青山一丁目駅で十五日、視覚障害者で盲導犬を連れていた品田直人さん(55)がホームから転落し、電車にひかれて死亡した。身近な駅に、どのような危険が潜んでいるのか。目が不自由で、白杖(はくじょう)を使う東京都盲人福祉協会の笹川吉彦会長(82)と一緒に十六日、現場を歩いた。 (谷岡聖史) ホームの幅は三メートル。壁が近く、圧迫感がある。電車が着くと、乗り降りの人で歩きづらい。電車のごう音で話し声も聞こえない。笹川さんが大声を上げた。「音が大きく響くから、電車がどっちから走ってくるのか分からない」 笹川さんは四十年ほど前、ホームから落ちたことがある。JR高田馬場駅で人混みに押され、足元のブロックを見失い、安全な場所に戻ろうとして、誤って線路側に足を踏み出してしまった。「発車直前で、もう終わりだと覚悟した」 この日の青山一丁目駅でも、サングラスをかけ、白杖を手に歩く笹川さんに気
十五日午後五時四十五分ごろ、東京都港区の東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームから世田谷区祖師谷一、会社員品田直人さん(55)が転落し、上野発渋谷行きの電車にはねられ、約三時間後に死亡した。品田さんは視覚障害があり、盲導犬を連れており、警視庁が転落時の状況を調べている。 同駅には、転落防止用のホームドアが設置されていなかった。駅のカメラ映像では、品田さんが何かにぶつかったり、人に押されたりした様子はなかったというが、進行方向の先に柱の列があり、盲導犬が避けようと線路側に寄った可能性もある。 警視庁と東京メトロによると、品田さんは線路に沿ってホームを歩いていたが、徐々に左側の線路方向にずれ、足を踏み外すように転落した。盲導犬は品田さんの右側に付き添っていた。転落の約二秒後に電車が進入し、運転士が急ブレーキを掛けたが間に合わなかった。
視覚障害者が助けを求めて白杖(はくじょう)を掲げるポーズ「白杖SOSシグナル」を紹介した八日朝刊の記事について、読者の方々から「初めて知った」「世間に広まれば」などの反響が本紙に寄せられた。考案されて四十年近くたっても、あまり知られていなかったが、インターネットを通じて記事が拡散し続けている。関係団体は、シグナルを見ても「腕や白杖を急に引っ張らないで」と注意点を挙げながら、理解がさらに広がることを期待している。 (荘加卓嗣) 「今まで知らなかったが、これから街で見かけたら行動する。ポーズを知り、手を貸そうという動きが社会に広がっていくといい」。本紙にメールを寄せた埼玉県ふじみ野市の無職大野安雄さん(69)は話す。 約三カ月前、白杖の女性と同じ電車に乗り合わせた。女性が下車する際、手を貸さなかったことを悔やんでいるという。女性は白杖を掲げていたわけではなく、壁伝いに降りられたが、大野さんはと
目も見えず、耳も聞こえない盲ろう者として初めて東京大教授となった福島智(さとし)さん(52)。この数年は適応障害によるうつ症状に苦しんでいたという。近著『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社)では、北方謙三さんの小説に「支えられて生きてきた」と明かす。なぜ読書が救いとなったのか。研究室を訪ねた。 「はじめまして」と、少し高い声で迎えられる。返事をすると、隣に座る通訳者が福島さんの指を手早くたたいた。九歳で視力、十八歳で聴力を失った福島さんの意思疎通手段は、母の令子さんが考案した「指点字」だ。通訳を介しているとは思えないスピードで会話が進んでいく。 福島さんは東大に着任して四年後の二〇〇五年、適応障害と診断された。研究室の責任者となり、約四十人のプロジェクトを担当することで直面した、人間関係のトラブルが原因だった。「見えなくなり、聞こえなくなった時もストレスはあったが、そうしたハンディは
安倍晋三首相は十二日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更をめぐり「(政府の)最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と述べた。憲法解釈に関する政府見解は整合性が求められ、歴代内閣は内閣法制局の議論の積み重ねを尊重してきた。首相の発言は、それを覆して自ら解釈改憲を進める考えを示したものだ。首相主導で解釈改憲に踏み切れば、国民の自由や権利を守るため、政府を縛る憲法の立憲主義の否定になる。 首相は集団的自衛権の行使容認に向けて検討を進めている政府の有識者会議について、「(内閣法制局の議論の)積み上げのままで行くなら、そもそも会議を作る必要はない」と指摘した。
安倍晋三首相が子どもの時、六〇年安保闘争デモをまねして「アンポハンタイ、アンポハンタイ」とふざけていたら父親の安倍晋太郎さんは、「サンセイといいなさい」とたしなめたが、祖父の当時の岸信介首相は「それをニコニコしながら愉快そうにみているだけだった」という。安倍首相の『新しい国へ』にある▼岸さんにそんな余裕があったかどうかはともかく、特定秘密保護法案の反対デモを「ニコニコ」とは見られない政治家がいる▼自民党の石破茂幹事長はブログでデモについて「絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」と書いた。デモもテロも同じ。ガンジー、キング牧師もびっくりしているだろう▼殺人や破壊行為によるテロと「表現の自由」による市民の主張であるデモを同じに扱うのならば、この国に少なく見積もっても数十万人単位のテロリストと「本質的に変わらぬ」人がいるということか。石破さんはそんな国の与党の首脳ということになる
例年なら心がわくわくするゴールデンウイークですが、今年は違います。大震災後の「再生日本」へ向けて私たちが英知を総動員すべきときです。 十六年前、阪神大震災が起きたとき戦後五十年の節目と重なったこともあって日本の運命論議が行われたように、今回の東日本大震災は「第二の敗戦」だと受け止めて、これからの日本をどうリセットしていくべきかの議論が活発化しています。大地震、大津波に加え、原爆ではなく、原発という原子力の平和利用が裏目に出て多方面に被害を及ぼしている影響があるからでしょう。 東日本大震災復興構想会議の特別顧問に就任した哲学者の梅原猛氏(86)は「あの敗戦と比べてもはるかに深い亡国の危機に直面している」と本紙コラムに書いています。確かに敗戦直後と比較すると社会全体の「成熟化」「高齢化」に伴い日本人のエネルギー、元気度、がむしゃらさなどの点では、貧しくとも若さに任せて懸命に生きた昭和二十年代よ
十六日夕、東京都豊島区のJR目白駅で全盲のマッサージ師武井視良さん(42)がホームから落ち、電車にはねられ亡くなった。悲劇は防げなかったのか。武井さんを知る同じ全盲の男性(59)を伴って現場のホームに二人で立つと、点字ブロックの問題点が浮かび上がった。 (大西隆) 新年会帰りの武井さん夫婦は、上野駅で山手線内回り電車に乗り、自宅のある大塚駅で降りるはずだった。だが乗り過ごして目白駅で下車。外回り電車に乗り換えようとして事故に遭った。
日本移植支援協会の高橋さん(右から3人目)らとボランティア活動をする三沢さん(中)。左から2人目のパネルは故ジャンボ鶴田さん=2001年、山梨県で 十八日の臓器移植法改正案の衆院採決を前に、特定非営利活動法人(NPO法人)「日本移植支援協会」(東京)のメンバーらが、ある支援者の急死で深い悲しみに包まれている。十三日に試合中に亡くなったプロレスラー三沢光晴さん(46)。先輩レスラーの死を機に協会の活動を強力に支援してきた。十八日は三沢さんの誕生日でもある。「三沢さんにいい報告ができれば」とメンバーは採決に望みをかける。 (神田要一) 国内での臓器移植の普及活動をしている協会と、三沢さんとの出会いは二〇〇〇年。この年、プロレスラーのジャンボ鶴田さんが海外での肝臓移植の手術中に亡くなった。鶴田さんの妻保子さんが協会の活動に加わろうと連絡したことがきっかけで、鶴田さんの付き人だった三沢さんも支援者
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