人という生き物が抱く感情は、決してポジティブなものだけではありません。自己肯定感が強い人や成功者に対する、「妬み」「やっかみ」「羨み」「嫉妬」などは、そういったネガティブな感情の代表的なものでしょう。 しかしなぜ、人はそれらネガティブな感情を抱くのでしょうか。そして、その感情がもたらす自分自身への悪影響とはどんなものなのでしょうか。脳科学者の中野信子さんの解説です。 構成/岩川悟(slipstream) 写真/塚原孝顕 自分にも手に入れられる可能性があるとき、「ずるい」「うらやましい」という感情が強くなる 自己肯定感が高いように見える人に対する反応には、多かれ少なかれ「妬み」の感情も潜んでいるかもしれません。 自分に対して不満やネガティブな感情があるとき、人は他人のことを「ずるい」と思ったり、「うらやましい」と感じたりするものだからです。このとき脳では「前部帯状回」という、痛みや矛盾を処理