インターネットで誰でも簡単に、航空券やホテル、旅行の予約ができるようになり、街中では旅行会社の看板が減った。既存の旅行会社のビジネスモデルが転換期を迎えるなか、最大手のJTBは旅行ビジネスから旅行周辺ビジネスに軸足を移し始めた。株主総会の運営をしたり、大学生の就職支援を行っているのはその一例だ。新しいビジネスモデルの全貌を探った。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子) 今年11月初旬。タイの洪水で、ある日本企業がタイ工場の従業員を数百人規模で日本の工場に受け入れるというニュースが流れた。 この一報に反応したのが、JTB法人東京の大塚雅樹・取締役マーケティング部長。バンコク支店に電話し、「タイから日本への従業員の移動をJTBに任せてくれないか、と売り込め」と指示を飛ばした。同時にその日本企業の本社などにも営業をかけた。 JTBが提案したのはバンコクから成田へ、そして成田から工場まで人を運
数字で会社を読む 週刊ダイヤモンドで好評連載中の「数字で会社を読む」。各業界・企業を担当する第一線の記者が、ポイントを絞った財務分析で企業・産業に切り込みます。 バックナンバー一覧 エイチ・アイ・エス(HIS)が子会社化したハウステンボスは、今年9月期に開業以来初の営業黒字に転じる見通しだ。決算数字から澤田秀雄・HIS会長の次なる狙いに迫った。 ハウステンボス(長崎県佐世保市)は1992年に開業した巨大なテーマパークで、東京ディズニーランドよりも広い。だが、総工費2200億円という巨額な投資負担と入場者数の落ち込みから、2003年に経営破綻。後を継いだ野村プリンシパル・ファイナンスも、再建できなかった。 HISは10年4月に、20億円を出資して子会社化した。残りの10億円は九州電力などの地元企業の出資による。HISは引き受けに当たり、60億円あった債務の8割の債権放棄を要求するとともに、出
42日間の休業を余儀なくされた旅館が、4月末、客室稼働率96%という驚異的な数字で再スタートを切った。まだ新幹線が近くの白石蔵王駅まで開通していないのに、である。 宮城県白石市の鎌先温泉にある「時音の宿 湯主一條」。全国の旅館が自粛に苦しむ中、ゴールデンウィークもほぼ満室となった。なぜ、この旅館はそんな数字を叩き出しているのか。 実は休業の間に、その秘密があった。 彼らも、もちろん厳しい局面に立たされていた。施設に大きな被害はなかったが、電気の復旧に時間がかかり、ガソリン不足もあった。特に食材の調達が地震後は難しかった。 先代が経営していたとき、経営危機に陥ったことがある。それを今の当主が経営を引き継ぎ、何でもやるサービスから、確実にできるサービスに絞り込み、品質を向上させた。そうして稼働率や客単価を増加に転じさせ、7年間で売上倍増を実現した。 この背景には、個人客の強い支持がある。彼らを
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