ショーン・ベイカー監督の新作『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を見てきた。 主人公は6歳の少女ムーニー(ブルックリン・プリンス)である。ムーニーはフロリダでボビー(ウィレム・デフォー)が経営しているモーテル、マジック・キャッスルでシングルマザーのヘイリー(ブリア・ヴィネイト)と暮らしている。貧しい中、友達と元気いっぱいに遊ぶムーニーだったが、貧困ゆえにヘイリーが売春を始め、モーテルの他の住人との関係がこじれて、児童福祉局がやってくる。 ベイカーの前作『タンジェリン』は、撮り方は新しくても話自体はちょっと古くさいというか、どうしようもない男との関係を断ち切れない女に関する古典的な話だった。それに比べて今作はもっと話が複眼的で新鮮だし、切ないところと笑えるところのバランスがとても良い。登場人物の貧窮ぶりはかなり悲惨なのだが、全体的にユーモアがあって、暗くなりすぎずに貧困のリアリティはきっち