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ブックマーク / magazine-k.jp (29)

  • アイヒマンであってはならない

    今月のエディターズノートを書くのはとても気が重かった。題材は早くから決めていた。永江朗さんが『私は屋が好きでした――あふれるヘイト、つくって売るまでの舞台裏』(太郎次郎社エディタス)というを出したことを知り、すぐにこれを取り上げようと考え、すでに読了していた。 しかし読了後、うーむと考え込んでしまった。 このは、自身でも書店員の経験があり、専業ライターとなった後は長年にわたり全国の屋に足繁く通い続けている永江さん(私も書店の店頭で何度もお会いしたことがある)が、屋に対して「好きでした」と過去形で語らずにはいられない昨今の状況についての、渾身のルポルタージュである。 中心的な話題は「ヘイト」だ(もっとも、この言葉を使うにあたり永江さんはいくつか留保をつけている)。いわゆる「嫌韓・反中」、つまり近隣諸国に対する排外主義的な考えを明示的に、あるいは暗黙のうちに主張する出版物のことで

    アイヒマンであってはならない
    mizukemuri
    mizukemuri 2020/03/13
    正直、本屋に入ってすぐの場所にヘイト本が山積みになってるとそのままUターンしたくはなる
  • あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」攻撃に抗議する

    8月1日に開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展の一つとして、メイン会場の愛知芸術文化センターで開催されていた「表現の不自由展・その後」の展示が3日いっぱいをもって中止された。 この企画展の趣旨は上記のページで以下のように説明されていた。 「表現の不自由展」は、日における「言論と表現の自由」が脅かされているのではないかという強い危機意識から、組織的検閲や忖度によって表現の機会を奪われてしまった作品を集め、2015年に開催された展覧会。「慰安婦」問題、天皇と戦争、植民地支配、憲法9条、政権批判など、近年公共の文化施設で「タブー」とされがちなテーマの作品が、当時いかにして「排除」されたのか、実際に展示不許可になった理由とともに展示した。今回は、「表現の不自由展」で扱った作品の「その後」に加え、2015年以降、新たに公立美術館などで展示不許可になった作品を、同様に不許可にな

    あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」攻撃に抗議する
  • 省人化と小売――ふうせんかずら探訪と考察

    Paypayの100億円キャンペーンが10日で終わったという12月。「キャッシュレス」が経済産業省の施策として格的に導入され始めている。オリンピック対応としてそれが正しいのか否かは歴史が判断するよりほかにないが、「イマココ」にいる存在としては、入り口でシャットアウトするのではなく、それをどのように「利活用する」かを考えておくことは重要である。 言うまでもなく、書店の粗利が低いことから、キャッシュレスにともなう決済手数料の負担は重荷である。第一のハードルは、「キャッシュレスにすることのメリットは何か」が提示できるかどうかであろう。 「フルキャッシュレス」書店としてのふうせんかずら 近鉄奈良駅から歩いて10分ほど。奈良町という観光スポットからは外れた、いわば鄙びた場所にある「ふうせんかずら」。その入居している古民家はリノベーション物件である。その在庫のセレクト性は他で紹介されているゆえにここ

    省人化と小売――ふうせんかずら探訪と考察
    mizukemuri
    mizukemuri 2019/01/16
    「フルキャッシュレス」書店か
  • 出版業界は沈みゆく泥舟なのか

    まるで沈みゆく泥舟のようではないか、と思う。日の出版業界のことだ。 このコラムは毎月、基的に月初に公開することにしている。毎月更新される小田光雄氏の「出版状況クロニクル」や、ジュンク堂書店の福嶋聡氏の「屋とコンピュータ」といったコラムを意識しつつ書いているのだが、これまではできるだけポジティブな話題を見つけるようにしてきた。でも今月はどうしても筆が進まず、公開が週をまたいでしまった。いまだに何を書いてよいやら、という諦めのような境地にさえなっている。 「文字もの」電子書籍は未だに紙の4% そうした思いを抱いた理由の一つは、先月に相次いで公開された出版市場統計である。 まず、インプレス総合研究所から2017年の日電子書籍と電子雑誌の市場規模が発表された。同研究所の調査によると、昨年の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円。

    出版業界は沈みゆく泥舟なのか
  • 第7回 「紙vs電子」はWin, Lose or Draw

    イメージ通りではなかった電子コミック時代 第1回の「出揃った電子コミックのプレイヤーたち」から連載をスタートしてまもなく一年が経つ。第1回では、コンテンツホルダーでもある出版社が格的に電子コミックに舵を切ったことでいよいよ格的な電子コミック時代が来る、ということを書いた。 たしかに電子コミック市場は右肩上がりを続けている。逆に紙の出版物は部数、金額ともに縮小に歯止めがかかっていない。予想通りといえばその通りなのだが、現状は思い描いていた電子コミック時代とは少し違っている。 肝心の「電子コミック」の未来像がよく見えてこないのだ。原因は三つある。 一つ目は、配信の中心になっているのが無料コミックアプリだということだ。無料コミックアプリはコミックを売るのではなく、コミックでお客を集めて、コミック以外の広告やスタンプを売るビジネスと考えたほうがいい。コミックはおまけみたいなものだ。配信元は内容

    第7回 「紙vs電子」はWin, Lose or Draw
  • 第1回 アマゾンがリアル書店を展開する思惑

    ニューヨークの屋は次々に廃業 2017年の11月にアマゾン・ブックスの第1号店がシアトル郊外のモールの一角にできてから、いよいよアマゾンが全米に残りわずかなインディペンデント書店を潰しにかかったか、と恐れる報道も一部には(特になぜか日で)見られた。このまま全米に最大で数百の店舗規模を考えている、と早とちりした不動産関係者のリークもあったが、そんな予想に反して、アマゾン・ブックスは最初の一握りの店舗がオープンした後は「開店準備中」も含めて16店で止まっている(2018年1月末現在)。 2008年秋のリーマン・ショック以降もまったく地価が下がらないニューヨークでは、イーストビレッジにあったセントマークス書店も、珍しいクックブックを集めたボニー・スロトニク書店も、力尽きてクローズしてしまった。マンハッタンはもう薄利多売の屋さんが店を回していけるような場所ではなくなってしまったということだろ

    第1回 アマゾンがリアル書店を展開する思惑
  • 第5回 デジタルで変わるマンガ家の仕事

    前回はデジタル化が編集者に及ぼす影響について考察したが、今回はマンガ家がデジタル化によってどう変わったのか、変わるのかについて考察してみたいと思う。一部、これまでとかぶる部分もあるが、ご容赦いただきたい。 制作支援ソフトがマンガ家を救う 1990年代半ばからのコンピュータの高性能化やネット通信インフラの整備は、マンガ家の仕事にも大きな影響を与えた。ひとつには、マンガの執筆道具としてコンピュータが使われるようになったことがあげられる。 奥浩哉が、2000年から「週刊ヤングジャンプ」に連載した『GANTZ』の背景にデジタル処理を用いるなどしたことが草分けとされているが、最大のエポックといえるのは、第3回でも触れたように、2001年にセルシスがマンガ原稿制作支援ソフト「コミックスタジオ」を発売したことだ。 それまで使われていたアドビの「フォトショップ」や「イラストレーター」などと比較して、使い方

    第5回 デジタルで変わるマンガ家の仕事
    mizukemuri
    mizukemuri 2017/10/11
    『同じ出版社からの依頼でもウェブ連載は紙よりも安い。Kの場合はページ単価が半分以下になったという』▼キッツいな
  • 第5回:カクヨム〜あらゆる「文章」のプラットフォームをめざす

    ネット投稿小説サイトはIT企業が運営するもの――そんな状況に一石を投じたのがKADOKAWAが2016年3月に正式オープンさせた「カクヨム」だ。株式会社はてなと組み、出版社自らネット投稿小説サイト運営に乗り出したその狙いはどこにあるのか? 商業出版とのシナジーや今後の展望などを、編集長の河野葉月氏に伺った。 出版社がウェブ小説を意識する理由 ――「カクヨム」の現状を教えてください。 河野:まもなく会員登録ユーザー数は16万人となります。オープン以来ゆっくりとした成長が続いていたのですが、(株)はてなの協力も得ながら使い勝手や機能の向上を図ってきました。「第2回カクヨムWeb小説コンテスト」を行った2016年12月からはその伸びが増しています。 ――投稿には会員登録が必要ですが、作品を読むだけであれば登録は不要ですね? 河野:そうです。サイト利用者はもっと多いですね。MAU(月間アクティブユ

    第5回:カクヨム〜あらゆる「文章」のプラットフォームをめざす
  • ノンフィクション作家はネットで食えるか?

    ノンフィクションの書き手が発表する場(雑誌)が少なくなっているのは、今に始まったことではない。書くメディアの確保とともに、どのように調査・取材のための資金を調達するのかが課題になっている。 この10年近く、少年犯罪や犯罪被害者遺族の取材を中心に取材、執筆を重ねているノンフィクションライターの藤井誠二さんの場合、どのような模索や葛藤があるのか、お話をうかがった。 藤井誠二さんの場合〜有料メルマガをはじめた理由 2016年はテレビ情報誌「テレビぴあ」(ウィルメディア)、情報誌「クーリエ・ジャポン」(講談社)、30代の女性向けファッション誌「AneCan」(小学館)、「小学二年生」(小学館)などが休刊した。一方、新しい雑誌が誕生したという目立ったニュースはなかった。現在は、原稿料をどう得るのかだけでなく、取材費の確保も書き手自身の課題となってくる。以前よりもマネタイズ、マネージメントへの関心が出

    ノンフィクション作家はネットで食えるか?
  • 1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]

    はじめまして。コグチスミカです。普段は別名義で、小説家、ライターとしてほそぼそと活動しています。現在、1歳児の子育てに奔走中の主婦です。 今回、どうしてもこの件について書かずにはおれず、だれかに知ってほしくて筆を取りました。 この記事を読んだ友人知人は、私がだれだか気づくかも知れませんが、どうか言及しないでいただきたいのです。あなたたちに正体がバレることはなんの問題もなく、むしろ喜ばしくすらあるのですが、クライアントにバレたら失職するかもしれないのです! キュレーションサイト「炎上」を生き延びたライターとして 2016年11月末、DeNAの運営する医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」が、炎上し、公開停止しました。例えば「胃痛 原因」などのキーワードで検索すると、Google検索で必ず上位に表示されていた大手のサイトでした。ですが、その記事の内容は、私たちのような単価の低いライターによって

    1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場(コグチスミカ) « マガジン航[kɔː]
    mizukemuri
    mizukemuri 2016/12/10
    マガジン航がこれを載せるのを良しとしたのは何か納得行かない
  • 第3回 軽くて閲覧性の高い最強デバイスは、いまも紙なのか

    借りて来たハードカバー、ダウンロードしたPDFのプリントアウト、入手しづらい博論のコピー、持って歩きたくない重さの画集や写真集、先生から渡される手書きメモ入り講義資料、ゼミで配られる先輩同輩後輩のレジュメの束エトセトラエトセトラエトセトラ……。 現代の私たちは、さまざまなフォーマットのアーカイブの海を航海する旅人のようだ。インターネットを通して得られる情報だけでも、そのフォーマットはことなり、私たちはそれぞれに対応したソフトを利用することになる。しかしこれだけパソコンとインターネットが発達したいまでも、私たちはまだまだ「紙」というデバイスに引きずり回されていることに気付くだろう。 私たちは、まだまだ「紙」を読んでいる 大学院に限らず大学のゼミと呼ばれるものに出れば、資料や史料、レジュメ、報告書類など、大量の紙資料が配付される。これらの資料はおおむねA3横を1面として印刷されている場合が多く

    第3回 軽くて閲覧性の高い最強デバイスは、いまも紙なのか
  • 『EPUB戦記』が伝える書物電子化への苦闘

    小林龍生さんの『EPUB戦記――電子書籍の国際標準化バトル』(慶應義塾大学出版会)はデジタルによる出版の黎明期を豊富なエピソードとともに伝えるものであり、また新しいの姿を探求してきた記録と、いまなお残る課題を示している。 書がカバーする期間は1980年代中頃から2016年初頭までの約30年間である。この時代は、の編集・制作と印刷の一部分でコンピュータが使われ始めてから、電子書籍というデジタル出版物の流通が格的に始まる時代として括ることができるだろう。 ところで、同じ小林姓なので小林氏と書くとどうも面はゆいので、以下、龍生さんと呼ばせていただく。私は龍生さんとは近い分野で仕事をしてきたので、何度もお会いしたり話をしたことはあるが、まとまった仕事を一緒にしたことはない。しかし、年齢もわずか1歳違いであり、書のエピソードを読みながら、大学卒業のころからこれまで、ああ、この頃、自分はこん

    『EPUB戦記』が伝える書物電子化への苦闘
  • テクノロジーの中年

    ケヴィン・ケリーの新刊『〈インターネット〉の次に来るもの――未来を決める12の法則』(NHK出版、2016)の原題はThe Inevitable、即ち『不可避なもの』である。なにが不可避なのか? テクノロジーの進歩に伴って条件的に課される、日々新しくなっていく情報/メディア環境での私たちの生活である。しかも、その更新は止むところを知らない。 無限のアップデート、避けられないのは常に新しい未来である。 その絶えまぬ更新的世界観は、各章の副題によく現れている。「BECOMING」(なっていく)、「COGNIFYING」(認知化していく)、「FLOWING」(流れていく)等々、すべて~INGという現在進行形で示される。つまり、全12章=「12の法則」は、私たちが放りこまれている新たな環境の生成変化の現場を、特徴的な動詞の観点から検討しているのだ。 永遠のビギナーたれ ケリーの基的な立場は最初の

    テクノロジーの中年
    mizukemuri
    mizukemuri 2016/09/06
    『中年とは、具体的な年齢を指しているのではない。「不可避」を的確に認識しつつも、大きな期待もなければ悲観的な絶望もない、否定もしなければことさら深入りしたいとも思わない』
  • アマゾンvsアシェット終戦

    アマゾンとアシェットのバトルにようやく決着がついたようだ。両社は先週、来年から実施するEブックの卸値その他の事項で合意に達したと報告した。アマゾンがアシェットの在庫を減らしたり、予約ボタンを消したりして、契約更新のネゴシエーションが難航しているのが表沙汰になったのが今年の5月だったので、半年以上もすったもんだしたことになる。 アシェットのCEOマイケル・ピーシュが語ったところによれば、基的にエージェント・モデルで合意し、アシェットがEブックの定価を安くつければつけるほど、有利にオンラインでプロモーション展開ができるようになっているとのこと。アマゾン側も一定のディスカウント権限が与えられているということで、これは最近「軽エージェンシー・モデル(Agency lite)」と呼ばれている。一説には、アシェット側がアマゾンの望む9.99ドルの定価なら従来の70/30で売上を分け、それより高めの定

  • NYタイムズはデジタル企業への脱皮をめざす

    ニューヨーク・タイムズの「Innovation」と題された社内資料であるエグゼクティブ・サマリーの存在がリークによって表に出て、出版界にいる人々の間で話題となった。その後、ソーシャルメディア情報サイトであるMashableがこのサマリーの完全版を入手した。その少し前、ニューヨーク・タイムズの編集主幹であるジル・エイブラムソンが突然解雇され、リークやMashableによる資料公表と解雇になにか繋がりがあるのではないかと憶測を呼んでいる。このエグゼクティブ・サマリーを読んでみた。 1851年に創刊されたニューヨーク・タイムズ。その後、ドイツからの移民の息子で優れた新聞社経営者であるアドルフ・オックスがこの新聞社を買収し世界でも一流の新聞に育て上げた。ニューヨークのタイムズスクエアは、アドルフがニューヨーク・タイムズを42丁目に移転したところからつけられた名前だ。 現在、アドルフの子孫であるサル

    NYタイムズはデジタル企業への脱皮をめざす
    mizukemuri
    mizukemuri 2014/06/26
    『アメリカで行われている人身売買の隠れた事実を暴き出してきたニューヨーク・タイムズ。この優れた新聞社が自分の組織についての調査レポーティングを本気でおこなった。それが今回のこのレポート』
  • NextPublishingが出版社の未来を変える

    電子出版協会(JEPA)は6月11日、株式会社インプレスR&Dが手がけるデジタル・ファースト出版方式「NextPublishing」の現状についてのセミナーを行いました。講師は代表取締役社長 NextPublishingセンター センター長 井芹昌信氏と、NextPublishingセンター 副センター長 福浦一広氏です。既存の取次・書店流通を使わない新しい出版ビジネスが、いまどの程度まで可能性を広げつつあるのか? という意味で、興味深い内容でした。プレゼン資料はJEPAのセミナー報告ページにあるので、詳細が知りたい方はそちらをご参照下さい。 「伝統的出版(Traditional Publishing)」 とは何が違うのか? 井芹氏によると、一般的な出版のプロセスは、企画、執筆、編集、制作、製造、流通に分解できます。そして、電子出版のイノベーションは、主に製造と流通に起きています。つま

    mizukemuri
    mizukemuri 2014/06/23
    『諦めた(捨てた)」点として、複雑なデザインを必要とする企画、個別の装丁デザイン(テンプレートを用いる)、大量生産・書店委託配本、再販制度』
  • ライター・イン・レジデンスin浦河体験記

    を書くために知らない土地へ逗留する作家の話」に出会ったのは、山川健一さんの『星とレゲエの島』(1985年)という小説が最初だった。ずいぶん昔読んだなので内容はあやふやだ。記憶に間違いがなければ、主人公は東京から逃げ出してジャマイカで、ニューヨークだったか東京だったかが舞台の小説を書きすすめていた筈である。読んだときにはこの点に関して深く考えなかったのだが、今にして思うと不思議な話である。わざわざ熱帯の孤島に出かけていって、大都会が舞台の小説を書く。効率がいいようには思えない。 昨年の7月、「マガジン航」に「新人作家の創作の場になったケルアックの家」という記事を寄稿した。1950年代に一世を風靡した小説家ジャック・ケルアックの家が、「ライター・イン・レジデンス(執筆逗留)」というプログラムの施設として利用されている、というレポートだ。 日には「作家をどこかに住まわせて面倒を見る代わり

  • ロンドン・ブックフェア2014報告

    毎年恒例のロンドン・ブックフェア。今年は4月8日から10日までの三日間、例年のとおりアールズコートを会場にして開催された。世界中から集まった2万5000人を越える出版関係者が訪れた。 フランクフルト・ブックフェアよりは規模が小さいが、一人で回ってみると見切れないぐらいほどのイベント(250以上のセミナー、ワークショップ)や展示ブースがある。個人的に関心がある「作家」および「自己出版」「電子書籍などのテクノロジー系」のキーワードを手がかりにして回ってみた。 「自分で管理」、広がる電子書籍の可能性 昨年のブックフェアを取材した記事(ロンドンブックフェア2013報告)の中で、作家たちが結束し、同盟を作っているという話を紹介した。その後、日でも有志が立ち上がり、インディーズ作家の団体「日独立作家同盟」ができたと聞く。非常に喜ばしい第一歩である。 インディー団体の立ち上げや作家たちの根城として、

    mizukemuri
    mizukemuri 2014/04/22
    「定額読み放題」
  • 第10回 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか

    前回は電子化という方法で蔵書問題を解決したケースをみてきた。 武田徹さんと大野更紗さん。二人に共通しているのは、電子よりも紙のの方が読みやすいという考えだ。大量に電子化してしまったことを武田さんは後悔していた。日常的に電子化をくり返し、電子化したを後もちゃんと読むと言った大野さんにしても「リーダビリティは紙が上」「日語のは紙で手に入れたい」と言ったことを話していた。 全ての蔵書を電子化してしまうのは味気ないと僕も思う。iPadなどのタブレットの出現、読みやすさを劇的に良くするアプリの開発という二点によって、「電子化された書棚」というものの活用が可能になってきた。だけれども、それは、武田さんのような尖った人の新しいことへの挑戦か、場所がないけどをたくさん所有したいという矛盾を解決するための打開策として実践するか、どちらかでしかやる価値がないのではないだろうか。 物体としてのを増

    mizukemuri
    mizukemuri 2014/02/26
    自分の書庫か…夢だなあ、嗚呼
  • ボイジャーが進むべき「電子の道」

    ボイジャーは筆者がこれまで取材を続けてきた電子書籍の世界の中でも、独特の存在感を醸し出す会社だ。それは出版社ともIT企業とも異なる。幾度となく訪れ、泡のように消えていった電子書籍の狂騒とは一線を画す、独特の考えをもった会社としか表現しようのないものだ。 1992年の設立以来、そんなボイジャーを率いてきた代表取締役の萩野正昭氏が社長の座を譲ると知ったとき、驚きと一種の感慨を覚えた関係者は多いはずだ。そこにどんな思いがあったのか、また新社長の鎌田純子氏はボイジャーの舵をどこに向かって切ろうとしているのか。社長交代にあたり、お二人に話をうかがった。 「生涯一兵卒でやっていきます」 ――やはりまず、萩野さんが社長を交代しようと考えられた理由を教えてください。 萩野:包み隠さず言えば、そこに何か大それた思いがあるわけではありません。46歳の時にボイジャーを立ち上げ、21年が経ちました。歳を取ってから