前々回、「台湾のライトノベルは日本と変わらない」と片づけてしまいましたが、こういう断定は乱暴ですし、ある文化表象を語る場合は、その文化の中に身を置いて丁寧に見て行かないと本当のところは分からないものです。中国語が読めない私にはそれはできませんが、台湾の状況を伝える文献をいくつか紹介しておきます。 まずライトノベルの話ではありませんが、台湾の若い人達を襲ったニッポン熱「哈日」現象を知る上で読んでおきたいのが『哈日杏子のニッポン中毒 ニッポンにハマった台湾人トーキョー熱烈滞在記』(2001、小学館)。哈日杏子というのはペンネームで、「哈日=ニッポン熱」に杏子という日本風の名前をくっつけています。1997年頃に突出した哈日現象の教祖的存在とも言われている人ですが、日本に出かけては秋葉原で、表参道のキディランドで、中野の「まんだだらけ」で、台湾に持ち帰るのにも苦労するくらいの量の買い物をし、そこら