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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (589)

  • 日本が新型肺炎に強かった理由

    貧富の差が大きいと、社会が病を認知するまで時間がかかるが、一旦認知するとひどいパニックになる?(写真は3月15日、封鎖されたイタリア・ミラノのホームレス) Daniele Mascolo-REUTERS <新型コロナウイルスがヨーロッパにまで拡大した今、振り返ってみると、被害を最小限でい止めたのは日だった。何がよかったのか> 日政府のこれまでの新型肺炎対応に関しては、ダイヤモンド・プリンセス号の頃は、世界中の批判が殺到したが、現在、世界を見渡してみると、新型肺炎の潜在的なリスクに対して、被害を最小限でい止めているのは、日だといえる。 これが政府の対応の成果なのか、国民性を含む社会の力なのか、要因分析は客観的にはできないが、一つだけ感想を述べたい。 やはり、日の全体的な医療の水準が高いということがあるのではないか。そして、貧富の差の影響が、受けられる医療の質に対して影響する度合い

    日本が新型肺炎に強かった理由
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/03/20
    “公的医療の問題について現れているのは、違法あるいはグレーゾーンの移民と社会の関係”
  • カリフォルニア州知事「6万人超のホームレスが新型コロナウイルス感染の恐れ」

    米カリフォルニア州のニューソム知事は18日、今後8週間で州内の6万人超のホームレスが新型コロナウイルスに感染し、医療システムに多大な負担が生じる可能性を明らかにした。写真は同州サンフランシスコ市内。(2020年 ロイター/Shannon Stapleton) 米カリフォルニア州のニューソム知事は18日、専門家が実施したモデリングで、今後8週間で州内の6万人超のホームレスが新型コロナウイルスに感染し、医療システムに多大な負担が生じる可能性が示されたと明らかにした。同州は、米国で最も感染が深刻な州の一つ。 ニューソム知事はフェイスブックに投稿した演説で、「今後8週間で、州内の路上で生活する10万8000人のホームレスのうち、罹患率が56%程度とすると、6万人超の感染者が出るとの結果となった。これは州民にとって、そして医療システムにとって大きな懸念となる」と述べた。 また、感染者のうち入院する人

    カリフォルニア州知事「6万人超のホームレスが新型コロナウイルス感染の恐れ」
  • 欧米で注目を集める「歩くだけ」心理療法、ウォーキング・セラピーとは何か

    <歩くだけなのに、仕事のストレスも、うつ病も、依存症も軽減する効果があるという。ウォーキング・セラピーの第一人者であるイギリスの臨床心理士ジョナサン・ホーバンが指南する> 新型コロナウイルスに世界同時株安と、先行き不透明な中、強いストレスにさらされたり、不安にさいなまれたりしている人もいるかもしれない。 その根的な解決になるわけではないが、そんなとき、気持ちを和らげるひとつの方法がある。「歩くこと」だ。 ウォーキングやジョギングをすれば、気分がすっきりする。そんな経験をしたことのある人は少なくないだろう。だがそうした運動に、ストレスや不安、さらには依存症、うつ病までも実際に軽減する効果があると聞いたら驚くだろうか。 トークセラピー(会話療法)、自然、運動がそれぞれメンタルヘルスにもたらす治療効果については、これまで多くの研究がなされてきた。だが、それら3つを組み合わせた「ウォーキング・セ

    欧米で注目を集める「歩くだけ」心理療法、ウォーキング・セラピーとは何か
  • 専門家会議の見解では、家族をどうやって感染から守ればいいのか全く分からない

    は感染を収束できるかどうかの瀬戸際にある、と政府専門家会議は見ているが Issei Kato-REUTERS <軽症患者を自宅で看護するとき、家族・同居人はどうやって感染を防ぐのか、高齢者・基礎疾患患者をどう守ればいいのか、見解では触れていない> 2月24日、厚生労働省は専門家会議の名前で、1つの「新型コロナウイルス感染症対策の基方針の具体化に向けた見解」を出しました(政府対策部は25日、この見解を踏まえて今後の感染防止対策の基方針を決定)。このタイトル自体が分かりにくいのですが、それはともかく、問題は、その中の「みなさまにお願いしたいこと」です。 具体的な内容について、文章はそのままに、箇条書きとして整理すると、 (1)風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養してください。ただし、以下のような場合には、決して我慢することなく、直ちに都道府県に設置されている

    専門家会議の見解では、家族をどうやって感染から守ればいいのか全く分からない
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/02/26
    “仮に「自宅療養」となる「グレーゾーンの人」もしくは「軽症者」が高齢者や基礎疾患のある人と同居していた場合です。その場合は、万が一感染が発生した場合には生命に関わるリスクになります。”
  • 新型コロナウイルスがアパートの配管を通じて空気感染?(香港)

    <1つの集合住宅で2人目の感染者。1人目の感染者は10階も上の住人だ。配管を共有する34戸の100人以上が隔離施設に移送された> 香港の衛生当局は2月11日、新界にある長康村のアパート「康美樓」から100人以上の住人を避難させたと発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した住人が2人見つかったからだ。2人は35階建てのアパートの別々の階の住人で、危険な新型コロナウイルスが配管を通して広まっているのではないか、という不安が広がっている。 騒ぎのきっかけは、後から感染が明らかになった62歳の女性の浴室で、封止していない配管が見つかったこと。この女性は、それ以前に感染したもう一人の住人の10階も下に住んでおり、この配管が感染経路かもしれないと疑われた。 香港政府品・衛生局の陳肇始(ソフィア・チャン)局長によると、3つの別々の部屋に住む入居者4人にも、発熱、乾いた咳、息切れ、呼吸困

    新型コロナウイルスがアパートの配管を通じて空気感染?(香港)
  • アカデミー賞3冠!今週公開『1917』が「ワンカット」で捉えた戦争の恐怖

    『1917』はカット割りがないかのような撮影手法で、マッケイ演じるスコフィールド(中央)とブレイクの過酷なミッションを追う ©2019 UNIVERSAL PICTURES AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. ALL RIGHTS RESERVED. <サム・メンデス監督が第一次大戦を描いた『1917 命をかけた伝令』(日公開は2月14日)が、第92回アカデミー賞の撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門で受賞。全編を「ワンカット」に見せるためのトリックを随所に採用し、最高の映像テクニックで戦争を表現することに成功した> 第一次大戦は人類史上初めて「映像化」された戦争だ。この戦争が勃発した1914年当時は映画技術文化も黎明期にあり、目の前で展開される未曽有の「大戦」にどう向き合うかは、まだ手探りの状態だった。 まず実録のニュース映画が、外国での戦争

    アカデミー賞3冠!今週公開『1917』が「ワンカット」で捉えた戦争の恐怖
  • 新型コロナウイルスの「不都合な真実」を隠す中国政府の病弊

    <一国の情報機関には、それが仕える国や社会の基原理や価値観が色濃く投影される――CIAとの比較から見えたウイルス蔓延を助長した根的な欠陥とは> およそ情報機関なるものは道徳心のかけらもないニヒルな連中(つまりスパイ)の集まりだと、たいていの人は思っている。どこの国でもそうだろう。しかし一国の情報機関には、それが仕える国や社会の基原理や価値観が投影されている。だから中国の国家安全省(MSS)とアメリカのCIAは似て非なるもの。その違いを理解すれば、中国政府が2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)危機に続いて、またしても新型コロナウイルスの蔓延を防げなかった根的な欠陥が見えてくる。 中国政府は今回も、その体制に深く根付いた悪しき体質ゆえに、都合の悪い事実や真実を自らへの脅威と見なして隠蔽し、ほぼ1カ月、国民には何も知らせなかった。武漢(人口約1100万)の市長はつい最近まで、この

    新型コロナウイルスの「不都合な真実」を隠す中国政府の病弊
  • 一〇〇年後に記された「長い二一世紀」の歴史

    メディアとコミュニケーションの形に大きな変化が起きた90年代以降を100年後の人たちはどのような歴史として語るだろうか。池内恵・東京大学教授が、予測する情報の人類史。論壇誌「アステイオン」91号の「可能性としての未来――100年後の日」特集より。 一〇〇年後にもは読まれているのだろうか。もし読まれていなければ、今書いているこの文章も伝わらないことになる。あるいは異なる媒体で、ではなく別の形で、この文章も伝達されていくのだろうか。だとするとそれはどういう形によってなのか。 二一二〇年に振り返れば、二一世紀の初頭は、人間のコミュニケーションの媒体がデジタル的なものに置き換えられて、その影響が生活の隅々や、多くの人々のものの考え方にまで及ぶようになった時代の、初期の段階と考えられるだろう。二〇二〇年には、この新しい時代に生まれ育った「デジタル・ネイティブ」の第一世代が成人し社会で活躍を始め

    一〇〇年後に記された「長い二一世紀」の歴史
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/01/23
    “大辞典・全集といった、有限なまとまりのある、かつ膨大な知の体系というものが、権威として参照されるものではなくなった/情報はすべてデジタルデータとして、そこここに散らばり浮遊している。”
  • 「HELLO, OUR STADIUM」新国立競技場の妙な英語──これで東京五輪を迎えるの?

    <12月15日、五輪の主会場となる新国立競技場が報道陣に公開されると、私は驚き、息をのんだ。あまりに英語の問題が多く見受けられたからだ> 2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、日は世界のアスリートとスポーツファンを迎えます。その時、いかに上手く言語対応をできるかがポイントとなるでしょう。 しかし、12月15日に東京五輪の主会場となる新国立競技場が報道陣に公開されると、私はがっかりしました。英語の問題が多いということが分かったからです。 私はその場にいませんでしたが、数人のジャーナリストが現場から撮影し、ツイートしてくれたので、中の様子を見ることができました。ここで新国立競技場の「妙な英語」を紹介して、なぜそれが問題なのか、代わりにどう訳せばいいのかについて解説したいと思います。 建造物に挨拶することは可能か? これを見て息をのんだ。 https://t.co/OTH5T7v27

    「HELLO, OUR STADIUM」新国立競技場の妙な英語──これで東京五輪を迎えるの?
  • 「トランプの記憶力が怪しい」米政府高官

    Trump Regularly 'Can't Remember What He's Said,' White House Insider Says <現役の米政府高官が出版した暴露は、トランプのただならぬ言動に焦点を当ててアメリカに警告する> トランプ政権についての新たな暴露が、11月19日に発売された。それによれば、トランプはしばしば「自分で言ったことや人から聞いたことを思い出せない」ことがあるという。 「A Warning(警告)」と題する260ページ近い大作で、著者はその大半をトランプのただならぬ言動の描写に費やし、警鐘を鳴らしている。 「トランプ政権の現役の高官」と紹介される匿名の著者は、自分たちは「大統領の頭の冴え具合を診断する立場にない」と認めつつも、「正常な人間なら、ドナルド・トランプ米大統領と少しでも一緒の時間を過ごせば、自分が見たものに違和感を覚えるはずだ」と書く。

    「トランプの記憶力が怪しい」米政府高官
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/11/22
    “たとえばトランプはある時、「カテゴリー5のハリケーンなんて聞いたこともない」と言ったという。”
  • それでも僕らがトランプを支持する理由

    トランプ支持の学生はキャンパスでは少数派。彼らの活動は若年層の票の行方に影響を与えるか DREW ANGERER-BLOOMBERG/GETTY IMAGES <リベラルなキャンパスで現政権支持は裏切り者? トランプたたきに物申す若者たちの音> あの日まで、ストルミ・ロドリゲス(21)は人種差別的な言葉をぶつけられたことは一度もなかった。 生まれ育ったテキサス州ミッションは、メキシコとの国境から110キロほどの場所。アメリカでも特にヒスパニック系住民が多い地域で、メキシコ系アメリカ人でシングルマザーの母親と「平凡で平穏な日々」を過ごしていた。 2016年のある日、テキサス州立大学に通うロドリゲスは、「アメリカを再び偉大に」というロゴ入りの赤い野球帽をかぶった写真をフェイスブックに投稿した。すると即座に、米大統領選に出馬していた共和党候補ドナルド・トランプを嫌う左派から暴言を浴びせられた。

    それでも僕らがトランプを支持する理由
  • 超ハイテク監視国家・中国が拡散する悪魔の弾圧ツール

    <数千万人を対象にした監視システムの概要が判明。開発されたハイテク技術の国外拡散も始まった> 一昨年の夏、中国にあるごく平凡な語学学校でのこと。授業中に前触れもなく地元警察が立ち入り、外国籍の受講生全員に「ビザを見せろ」と要求した。 受講生のうち博士課程に在籍する1人は、たまたまパスポートを所持していなかった。すると警官は「まあいい」と言って受講生の名を尋ね、それを携帯端末に入力した。そして「これがおまえか」と言って端末の画面を見せた。そこには受講生の氏名と旅券番号、宿泊先の住所が表示されていたという。 新疆ウイグル自治区なら、こうした光景も珍しくない。あそこでは当局が最先端の技術を駆使して少数民族のウイグル人を監視している。だがこの語学学校があった場所は南部の雲南省だ。 今では中国全土で、地域の公安機関が特定の人々を追跡するためにデータベースと携帯端末を使っている。「重点人員」と呼ばれる

    超ハイテク監視国家・中国が拡散する悪魔の弾圧ツール
  • #MeTooムーブメントの火付け役が暴露した、巨大メディアNBCの驚きの陰謀

    <ハリウッド大物プロデューサーの性暴力を取材していたローナン・ファローに圧力をかけたのは、驚くことに最初に取材を割り振ってきたNBCだった> 2017年10月は、男性が支配する業界で働いてきたアメリカ人女性にとって、歴史に残る大きな転機となった。 最初は10月5日にニューヨーク・タイムズ紙に掲載された告発記事だった。アカデミー賞受賞作や大ヒット作を数多く産み出してきたハリウッドの大物プロデューサーであるハービー・ワインスティーンが、過去30年に女優や従業員に対して「性暴力」や「セクシャルハラスメント」を行ってきたというものだ。 5日後の10月10日、ローナン・ファローがニューヨーカー誌にさらに踏み込んだ記事を載せた。ワインスティーンが13人に性暴力をふるい、3人をレイプしたという内容だ。ニューヨーク・タイムズの5日の記事には「レイプ」という表現はなかったが、ここでははっきりと「レイプ」とい

    #MeTooムーブメントの火付け役が暴露した、巨大メディアNBCの驚きの陰謀
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/11/02
  • 東京の江東5区、台風19号では見送られた250万人の広域避難

    首都圏のすべての鉄道が運休したため避難勧告は見送られた(写真は台風19号で増水した多摩川、10月13日) Kim Kyung-Hoon-REUTERS <今後の豪雨災害の頻発を見越して、実際に広域避難が機能するためのPRや訓練が必要> 今月12日に関東に上陸した台風19号の際に、東京都東部の低地帯にある江東5区。つまり墨田、江東、足立、葛飾、江戸川の各区は、都の西部や他県などへの「広域避難」を一時検討していたことが分かった、と24日に時事通信(電子版)が報道しています。 この記事ではさらに、検討はされたものの、「首都圏の在来線全ての運休が決まったため住民への呼び掛けや勧告は見送った」と説明されていました。2018年8月に、この5区で構成する協議会は広域避難の計画を策定しました。具体的には「台風の中心気圧が930ヘクトパスカル以下」「荒川流域での3日間の積算雨量予測が500ミリ超」を目安とし

    東京の江東5区、台風19号では見送られた250万人の広域避難
  • 香港の若者が一歩も退かない本当の理由

    <「自由を求める香港vs独裁的な中国」の二項対立では捉えきれない、若者を取り巻く不幸> 6月から続くデモに業を煮やした中国政府は、香港政府の責任者、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の更迭を検討中といわれる。しかし、責任者をすげ替えたり、あるいは軍事介入でデモを叩き潰したりしても、香港の若者たちの将来への幻滅が続く限り、抗議の芽がなくなることはない。 失業リスクに直面 香港デモに関して、多くの論説は「自由や民主主義を求める香港市民vs独裁的な中国共産党」という構図にフォーカスしている。実際、デモ隊が掲げる要求は、逮捕されたデモ参加者の釈放、警察の不当な取り締まりに関する独立した調査委員会の設置、自由かつ公正な選挙など、政治的なものばかりだ。 しかし、フランス革命以来の多くの政治変動では、自由や民主主義といった大義だけでなく、生活苦への不満もまた大きなエネルギーになってきた。香港デモの場合も

    香港の若者が一歩も退かない本当の理由
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/10/29
    “世界中から優秀な人材、経験豊富な人材が集まってくる。英語がビジネス用語として普及していることは、その一因だ。そんな競争の激しい社会では、日本と違って、新卒であることが大きなアドバンテージにならない”
  • 「トランプには戦略的、抽象的な思考が欠如している。世界にとって危険なことだ」

    Trump’s ‘Mental Impairment Means He Cannot Think Strategically or in Abstract Terms,’ Claims Professor of Psychiatry <複数の選択肢を比較したり、リスクを評価したり、結果を予測したりすることができない。その代わり、恥さらし、低能、フェイクといった単純な形容詞を連発する> ドナルド・トランプ米大統領には精神疾患があり、抽象的な思考ができず、物事を表面的にしか見ることができない、と精神医療の専門家が指摘した。 トランプの精神状態に関しては、これまでにも多くの心理学や精神医学の専門家が懸念を表明してきた。国際社会で影響力を持つ米大統領職の重要性と、大統領が行使する権力の大きさを考慮すれば、そうした懸念を持つことが重要だという考えからだ。その一方で、対面による診察を行わなければ、適切

    「トランプには戦略的、抽象的な思考が欠如している。世界にとって危険なことだ」
  • ドラマ『チェルノブイリ』、事実がまっすぐ伝えられない状況は、まさに今の日本の姿だ

    人類最大の事故をドラマ化。『チェルノブイリ』は「事実」のゆくえを描く テクノロジーによる人類最大の事故は、人類が作った最大の人工国家で発生した。1986年4月のチェルノブイリ原発事故である。当時のソ連でのできごと。ドラマ『チェルノブイリ』は、そんな人類最大の事故に直面した上から下まで人々の大騒動をドラマで再現する。上は、ゴルバチョフ書記長。下は、消防隊員やその、炭鉱夫、科学者たちである。 ドラマが描くものは、"事実(ファクト)"のゆくえである。人や組織が事実を受け入れることの難しさ。これはむしろ今のテーマである。嘘であろうとそれを事実と捉え、広がってしまうSNS歴史的事実ですら、ネットの検索ではぶれた答えしか見つからない検索の先の世界。ドラマを観てしまった今では、どれもがチェルノブイリ的な世界に見える。 この発電所の正式名?──「VIレーニン記念原子力発電所」 1986年4月26日の1

    ドラマ『チェルノブイリ』、事実がまっすぐ伝えられない状況は、まさに今の日本の姿だ
  • あいちトリエンナーレのささやかな「勝利」

    <社会に大きな波紋を投げかけている「あいちトリエンナーレ2019」、この事件の「現場」はどこなのか。そして、そこはいまどうなっているのか......> 9月の上旬、名古屋市と豊田市にある国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(以下、トリエンナーレと略)の会場のいくつかを一日かけて見てまわった。 すでに多くの報道がなされているとおり、今年8月1日に開幕したトリエンナーレは、来場者に危害を与えることを示唆する脅迫や、攻撃的な抗議が殺到する事態により、出展作の一つである〈表現の不自由展・その後〉が開始3日目で展示中止となり社会に大きな波紋を投げかけた。 同展の中止決定に至る経緯が「検閲」にあたるとして、国内外の参加アーティストの多くがこの決定に抗議する声明文に署名した。過酷な検閲を経験してきた地域のアーティストを中心に、作品の引き上げや展示内容の変更といった動きも起きた。私が名古屋を訪れた前

    あいちトリエンナーレのささやかな「勝利」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/10/09
    “町に溶け込んだ雰囲気のなかで、もしもあの少女像が、あるいは天皇の肖像をモチーフにした映像作品が、分散的に展示されていたら、それでもあのような激しい反発は起きただろうか”
  • 『ジョーカー』怒りを正当化する時代に怒りを描く危うい映画

    ジョーカーを演じた主演のフェニックスは大幅に体重を落として役に臨んだ ©2019 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED TM & ©DC COMICS <バットマンの敵役ジョーカーの原点を描き、その疎外感に共感を寄せる『ジョーカー』。トランプ時代の空気を映し出している作品だが> 『ジョーカー』の舞台は1981年の腐臭漂うニューヨーク(※)ゴッサム・シティ。映画の冒頭近くで、主人公アーサー・フレックは道化師姿で看板持ちの仕事をしていたとき、中南米系とおぼしきギャングたちに嘲笑され、暴行を受ける。 ※映画の舞台を誤って「ニューヨーク」と記載していました。お詫びして訂正します。(2019年10月7日11時20分) 白人が不当に迫害されているという描かれ方は、近頃では珍しくない。これは、ドナルド・トランプ米大統領が巧みに利用してきたストーリーでもある。 『ジョ

    『ジョーカー』怒りを正当化する時代に怒りを描く危うい映画
  • シンガポールの危険な「フェイクニュース防止法」

    Singapore's Controversial 'Fake News' Law Goes Into Effect October 2 <「中国と大差ない」と言われる言論規制が、ネット空間に広がることになった> シンガポールで国民を「フェイクニュース」から守ることを目的とする新たな法律が10月2日に発効したが、この法律は実際には言論の自由を抑圧し、政府に不当な権限を与えるものだとして、一部から警戒する声が上がっている。 東南アジアの都市国家シンガポールが制定したこの法律には、その目的について以下のように書かれている。「事実に関する誤った言説が電子的に掲載されるのを防止し、またこうした誤報が拡散されるのをい止め、こうした情報操作のためにオンラインアカウントが使われるのを防ぐ手段を講じる」。 同法は、シンガポール国内における一定の条件に該当する言説の流布を禁じている。政府が虚偽と認定したも

    シンガポールの危険な「フェイクニュース防止法」