日本の多くの大企業には、CIO(最高情報責任者)が二人いる。「CxO制度すら定着していないのに、そんなバカな」と思うかもしれないが、現実である。むしろCxO制度が定着していないがゆえに、日本の大企業では「誰がCIOに相当するのか」と聞かれると、大概は二人の役員の名前が挙がるのだ。 では二人のCIOとは、具体的には誰か。まず一人目は常務取締役、代表取締役副社長といった企業の首脳クラスの役員。彼らは財務担当や営業統括といった本業のほかに、いくつかの役割を兼務しており、その一つに「IT担当」「IT部門管掌」としてCIOの役割も担う。ただし、ほとんどの人はIT部門での業務の経験が無く、ITに関しては“素人”だ。 そしてもう一人のCIOが、役員待遇のIT部門の長だ。大方は執行役員システム部長の肩書きで、常務や副社長といった上席のCIOの指揮下にある。 問題は、どちらが本当のCIOなのかである。役員で