広島県福山市の明王院は19日、木造弥勒菩薩坐像(県重要文化財)の頭部から折りたたまれたとみられる紙が見つかったと発表した。文字などが記されている可能性があり、今後取り出して内容の分析を進める。 同院の片山悦子事務長は「制作時期や意図、仏師が判明すれば、過去を伝える貴重な発見になる」と期待している。 仏像は、同院にある国宝・五重塔の本尊で、高さ52・7センチ、寄せ木造り。両腕の接合部が離れるなど劣化が進み、7月から全身の解体修理をしていた。 頭部から紙が見つかった木造弥勒菩薩坐像(広島県福山市提供)制作時期を記録した資料は見つかっていないが、塔と同じ南北朝時代と推定できるという。修理費は約1千万円で、県や市などが補助し、来年3月末までの予定。 福山市の担当者は「紙に傷みや変色した部分もあり、慎重に解体や調査を進めたい」と話した。