片塩二朗『秀英体研究』(平成16年12月、大日本印刷)及び府川充男『聚珍録』(平成17年2月、三省堂)によると、秀英舎(製文堂)において、明治22年の『五号活字見本』及び明治27年の『活字見本類 未完成』並に推定明治29年の『活版見本帖 未完』に見られる古い五号仮名が、明治36年の『活版見本帖』或は明治43年の『活版見本帖』に見られる新しい五号仮名へと、明治30年代から40年代にかけての時期にモデルチェンジされるやうです。 このモデルチェンジのタイミングあるひは変遷の度合ひについて、興味深いことに、『秀英体研究』と『聚珍録』の双方が共に明治38年に刷られた書物に注目してゐました。 『秀英体研究』pp.554-555に曰く 秀英体五号ひら仮名活字はほかのサイズと比較して、築地活版所の活字書風をもっともよく受け継いでいる。 一九一三年(大正二)S7『明朝五号活字摘要録』に掲載されたひら仮名は、