高齢者による万引きが増えている(図1参照)。 万引は、刑法235条で窃盗の罪となり、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金を科せられる。以前ならば、被害が少額であれば、本人や親など身内の者も加わって弁償、謝罪することで、店側が警察に届けないケースが多かった。 しかし、近年は警察に通報するケースが増えている。小売りは薄利多売の商売がほとんどで、万引の被害はたちまち経営を圧迫する。万引が犯罪であることを再認識させ、厳正に対処する店が増えたのだ。 万引の通報があれば、後は警察の対応となるが、警察はすべての万引犯を検察官へ送致するわけではない。刑事訴訟法246条で、警察は事件を速やかに検察官に送致するとしているが、但し書きに「検察官が指定した事件については、この限りではない」とある。 成人の場合には、万引のような被害が僅少、犯情が軽微な財産犯で、被害回復も行われ、被害者も処罰を希望していない。