申請された証拠の一つでもある「意見書」を執筆した精神科医で、20年にわたり東京都女性相談センター嘱託医としてDV被害女性の診断にあたってきた加茂登志子氏は「トラウマの影響で封印されてきた記憶が明らかになった以上、裁判をやり直すべきではないのか」と問題点を指摘する。 優里被告が嗚咽しながら語った「記憶」 ――新しい証拠をことごとく却下した、控訴審の判断をどう見ますか。 「どうしてこんなに冷たいのかと疑問が先に立ちました。もともと、構図が非常に似通った千葉県野田市の虐待死事件で母親に下った判決は懲役2年6か月(保護観察付執行猶予5年)。これに比べ、優里被告への8年の刑は重過ぎると感じています。しかも優里被告は今回、新たに記憶を取り戻し、結愛ちゃんが亡くなるに至ったプロセスでわからなかった部分が見えてきました」 精神科医の加茂登志子氏 加茂医師のいう「新たな記憶」とは、7月の公判で初めて明らかに