ブックマーク / bijutsutecho.com (26)

  • 日本の文化予算はなぜ少ないままなのか? 元文化庁長官に聞く

    文化予算はなぜ少ないままなのか? 元文化庁長官に聞く韓国やフランスなどと比較し、低水準にある日文化予算。なぜその予算は低空飛行なのか? 元文化庁長官で、現在は山梨県立美術館館長・石川県立美術館館長・多摩美術大学理事長を務める青柳正規氏に話を聞いた。 聞き手・文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) 元文化庁長官で現在は山梨県立美術館館長・石川県立美術館館長・多摩美術大学理事長を務める青柳正規氏(多摩美術大学にて) 後塵を拝してきた「文化」 ──2023年初め、文春オンラインと『文藝春秋』において、東京国立博物館の藤原誠館長による緊急寄稿(「このままでは国宝を守れない」)が掲載され、広くミュージアムの運営が危機的であることが認知されました。この寄稿では、交付金が少ない、光熱費不足分の補正予算が出ないといったことが訴えられましたが、青柳先生はこれをどのようにご覧になられましたか?

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  • 国立アートリサーチセンターがミュージアム利用のための『合理的配慮のハンドブック』を公開

    国立アートリサーチセンターがミュージアム利用のための『合理的配慮のハンドブック』を公開国立アートリサーチセンターが、国内の美術館・博物館(ミュージアム)で働く職員や、障害のある方を含むミュージアム利⽤者に向けて、「合理的配慮」に関する具体的な事例などを解説した冊子『ミュージアムの事例(ケース)から知る!学ぶ!合理的配慮のハンドブック』を制作。3月28日よりPDF版が公式ウェブサイトで公開されている。 『合理的配慮のハンドブック』 国立アートリサーチセンター(NCAR、センター長:片岡真実)が、国内の美術館・博物館(ミュージアム)で働く職員や、障害のある方を含むミュージアム利⽤者に向けて、「合理的配慮」に関する具体的な事例などを解説した冊子『ミュージアムの事例(ケース)から知る!学ぶ!合理的配慮のハンドブック』を制作。3月28日よりPDF版が公式ウェブサイトで公開されている。 2024年4月

    国立アートリサーチセンターがミュージアム利用のための『合理的配慮のハンドブック』を公開
  • 公共彫刻から芸術祭へ:到達/切断地点としての「ファーレ立川」

    公共彫刻から芸術祭へ:到達/切断地点としての「ファーレ立川」東京都立川市の米軍基地跡地の再開発によって、1994年10月13日に開業した「ファーレ立川」は、国内でも屈指のパブリック・アートの集積地として知られている。彫刻家・彫刻史家である小田原のどかが、この109もの作品が設置された場所の歴史を紐解くとともに、公共空間におけるアートの到達/切断地点として論じる。 文・撮影=小田原のどか 恒久設置の「その後」 1922年、帝都防衛構想における陸軍航空部隊の中核拠点として、この地に飛行場が開設された。日陸軍の研究機関である陸軍航空技術研究所が置かれ、陸軍航空機の製造・改造を目的とした陸軍航空工廠も併設された。太平洋戦争下、ここは帝国陸軍航空部隊の研究・開発・製造の一大拠点となる。周辺には軍用機を製造する民間工場とその下請け工場が並び、それゆえ戦争末期には激しい空襲を受けた。 敗戦後、ここは接

    公共彫刻から芸術祭へ:到達/切断地点としての「ファーレ立川」
  • シリーズ:これからの美術館を考える(4) 「学芸員」という概念を解体しよう

    シリーズ:これからの美術館を考える(4) 「学芸員」という概念を解体しよう5月下旬に政府案として報道された「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」構想を発端に、いま、美術館のあり方をめぐる議論が活発化している。そこで美術手帖では、「これからの日の美術館はどうあるべきか?」をテーマに、様々な視点から美術館の可能性を探る。シリーズ第4回は、東京国立近代美術館や国外の美術館で数々の展覧会を手がけてきた同館主任研究員の保坂健二朗。 文=保坂健二朗 「学芸員」はオールラウンドプレイヤーか? ここでリーディング・ミュージアム構想の是非はあえて問わない。正直なところ私は、あれを読んでむしろ、外部の門外漢があのような意見を言いたくなるような雰囲気を日の美術館が持ってしまっているということなんだと、そしてそのような雰囲気が生まれることを許してきた体制について、自分も含めて関係者は皆、反省すべきだと感

    シリーズ:これからの美術館を考える(4) 「学芸員」という概念を解体しよう
  • キャナルシティ博多のナムジュン・パイク作品はいかに修繕されたのか。メディア・アートの「魂」を未来へ運ぶために

    キャナルシティ博多のナムジュン・パイク作品はいかに修繕されたのか。メディア・アートの「魂」を未来へ運ぶために福岡市のキャナルシティ博多にある、ナムジュン・パイクのビデオ・アート作品《Fuku/Luck,Fuku=Luck,Matrix》。近年、機器の劣化によって上映を停止していたが、今年10月に修繕された。 福岡市のショッピングモール・キャナルシティ博多にある、ナムジュン・パイクのビデオ・アート作品《Fuku/Luck,Fuku=Luck,Matrix》。同施設のクリスタルキャニオンの南側ガラス壁面に設置された、180台ものブラウン管テレビが並ぶ作品だ。 ナムジュン・パイクは1932年に韓国に生まれ、日ドイツアメリカでも活動し、ヴィデオ・アートの開拓者と称される。一昨年から昨年にかけては、ロンドンのテート・モダンで大規模な回顧展「Nam June Paik」が開催された。《Fuku/

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  • ある黒人キュレーターの告発から見えた、白人多数のアメリカ美術界の問題

    グッゲンハイム美術館 Photo by David Heald (C) Solomon R. Guggenheim Foundation, New York. 美術館における多様性の実情 ミネアポリスの警察官によってジョージ・フロイドが殺害されたことをきっかけに、全米各地で大規模な「Black Lives Matter」を掲げた人種差別への抗議行動が起こっているのを受け、企業や組織などが、相次いでこの動きへの支持を表明している。 美術界もこの流れに乗っているものの、業界全体では依然有色人種の占める割合が少ないのが現状である。アンドリュー・W・メロン財団が2019年に発表した報告書によると、キュレーターにおいては84パーセント、運営に関わるポジションでは88パーセントが白人で占められている。国勢調査で自らの人種を「白人」と回答した割合が76.5パーセント(2019年)であることを考慮すると、

    ある黒人キュレーターの告発から見えた、白人多数のアメリカ美術界の問題
  • Black Out Tuesday :アート界が黒に染まった日

    Black Out Tuesday :アート界が黒に染まった日アメリカ・ミネソタ州の黒人男性殺害を受け、抗議や連帯の意思を示す「#blackouttuesday」がSNSで巻き起こった。 普段、カラフルな画像であふれるInstagramが、真っ黒に染まった。アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官によって殺害された事件は全米各地で抗議デモを巻き起こし、その勢いは増すばかりだ。 そんななか、6月2日の火曜日にはInstagramを中心としたSNSにハッシュタグ「#blackouttuesday」が登場。著名人から一般ユーザーまで、じつに2700万件以上(6月3日現在)の投稿が行われている。 ただ真っ黒な画像をだけを投稿し、抗議デモへの連帯や、人種差別への反対を示すこの運動。アート界も例外ではなく、多くの投稿が見られた。 美術館からは、アメリカを代表するニューヨー

    Black Out Tuesday :アート界が黒に染まった日
  • ひろしまトリエンナーレ、空中分解へ。総合ディレクターが辞任し緊急声明を発表

    ひろしまトリエンナーレ、空中分解へ。総合ディレクターが辞任し緊急声明を発表今年初の開催を予定している「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」で、総合ディレクターの中尾浩治が辞任。緊急声明を発表した。 総合ディレクターが抗議の辞任。新設される「アート委員会」とは? 今年9月12日〜11月15日の会期で予定されている広島県初の大規模芸術祭「ひろしまトリエンナーレ2020 in BINGO」で、総合ディレクターの中尾浩治(アート・マネジメント・しまなみ代表)が3月31日付で辞任、緊急声明を発表した。 同芸術祭をめぐっては今年3月、実行委員会や企画部会とは別に、展示内容を事前選定する検討委員会設置の方針を県が表明。美術界からは「検閲に当たるのではないか」として大きな反発が起こっている。中尾の辞任と緊急声明は、こうした県の動きに対する抗議だ。 辞任した元総合ディレクターの中尾浩治 そもそ

    ひろしまトリエンナーレ、空中分解へ。総合ディレクターが辞任し緊急声明を発表
  • 「自粛と給付はセットだろ」は法的に正しいのか? 弁護士・行政法研究者が解説

    「自粛と給付はセットだろ」は法的に正しいのか? 弁護士・行政法研究者が解説政府や自治体による大規模イベント等の中止・延期等の要請や「不急不要」の外出自粛要請、そのような自粛を呼びかける報道等により、美術・演劇・音楽等、文化芸術活動を行うアーティストや関係者らがイベント中止等により損失を受けている。こうした損失は、法的に補償されるものなのか? 「自粛と給付」はセットかという問題について、文化芸術活動への助成に関する訴訟にも携わっている弁護士兼行政法研究者が解説する。 文=平裕介(弁護士・行政法研究者) 政府や自治体による大規模イベント等の中止・延期等の要請や「不急不要」の外出自粛要請、そのような自粛を呼びかける報道等により、美術・演劇・音楽等、文化芸術活動を行うアーティストや関係者らがイベント中止等により損失を受けている。 政府は、28日の首相記者会見で、イベント中止の損失を補償することは難

    「自粛と給付はセットだろ」は法的に正しいのか? 弁護士・行政法研究者が解説
  • 臨時休館中の東京都写真美術館、展示風景をYouTubeで公開。学芸員による解説も

    臨時休館中の東京都写真美術館、展示風景をYouTubeで公開。学芸員による解説も新型コロナウイルスの影響で臨時休館している東京都写真美術館が、来であれば開催されている2つの展覧会の様子を動画で公開した。 YouTubeより 3月3日、新型コロナウイルスの影響で臨時休館している東京国立博物館が、特集展示「おひなさまと日人形」の展示風景をYouTubeで公開し、話題を呼んだ。 これに続くように、展示風景をYouTubeで公開したのは東京都写真美術館だ。同館は、来であれば3月3日から「日初期写真史 関東編」と「写真とファッション」の2展覧会を同時にスタートさせるはずだった。しかしながら、多くの美術館同様、新型コロナウイルスの影響で臨時休館となり、いまだ展覧会は誰の目にも触れていない。 そこで同館では、2つの展覧会をYouTubeで公開した。幕末明治期における関東地方の写真文化をひもとく

    臨時休館中の東京都写真美術館、展示風景をYouTubeで公開。学芸員による解説も
  • 「表現の不自由展・その後」、台湾の美術館で開催へ。《平和の少女像》も展示

    「表現の不自由展・その後」、台湾の美術館で開催へ。《平和の少女像》も展示「あいちトリエンナーレ2019」の一企画だった「表現の不自由展・その後」が、台湾の台北当代芸術館で今年4月に開催されることがわかった。あいトリで争点となった《平和の少女像》も展示されるという。 「あいちトリエンナーレ2019」の一企画として行われた「表現の不自由展・その後」が、今年4月に台湾の台北当代芸術館で開催されることがわかった。 「表現の不自由展・その後」は、日国内において検閲や忖度などなんらかの理由で展示されなかった作品を集めた展覧会内展覧会。出品作品のひとつだった《平和の少女像》(2011)などをめぐり、政治家による介入や電凸攻撃などが発生し、8月1日の開幕からわずか3日で展示が中止された。その後、閉幕直前の10月8日に展示が再開。入場には抽選が導入され、多くの鑑賞希望者が押し寄せた。 そして「あいちトリエ

    「表現の不自由展・その後」、台湾の美術館で開催へ。《平和の少女像》も展示
  • 彫刻とジェンダー、美大の状況。 アーティスト・笠原恵実子インタビュー シリーズ:ジェンダーフリーは可能か?(6)

    彫刻とジェンダー、美大の状況。 アーティスト・笠原恵実子インタビュー シリーズ:ジェンダーフリーは可能か?(6)世界経済フォーラム(WEF)による2018年度版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日は「調査対象の149ヶ国中110位」という低順位であることが明らかになったが、日の美術界の現状はどうか。美術手帖では、全11回のシリーズ「ジェンダーフリーは可能か?」として、日の美術界でのジェンダーバランスのデータ、歴史を整理。そして、美術関係者のインタビューや論考を通して、これからあるべき「ジェンダーフリー(固定的な性別による役割分担にとらわれず、男女が平等に、自らの能力を生かして自由に行動・生活できること)」のための展望を示していく。第6回では、西洋を起源とする制度や二元的思想への疑問を発端に作品制作を続けてきたアーティスト・笠原恵実子に話を聞いた。 構成=杉原環樹 神話的な身体性への疑い

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  • プレイバック!美術手帖 1967年9月号 特集「裁かれる今日の芸術」

    プレイバック!美術手帖 1967年9月号 特集「裁かれる今日の芸術」 『美術手帖』創刊70周年を記念して始まった連載「プレイバック!美術手帖」。美術家の原田裕規がバックナンバーから特集をピックアップし、現代のアートシーンと照らし合わせながら論じる。今回は1967年9月号の特集「裁かれる今日の芸術」を紹介。 文=原田裕規 「別の論理」と「経済圏」の確立なしに芸術は裁けない 1967年6月、東京地裁は赤瀬川原平に対し、通貨及証券模造取締法違反の罪で有罪判決を下した。俗に言う「千円札裁判」である。「裁かれる今日の芸術」と題された特集は、この判決から3ヶ月後に刊行された。特集では、千円札裁判のみならず、チェリストのシャーロット・モーマンが公然わいせつ罪で逮捕された「トップレス・チェロ演奏会事件」、ジム・ダインやヘルマン・ニッチェらが罪に問われた猥褻事件などの「芸術裁判」が取り上げられている。 特

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  • 日本現代美術商協会、文化庁の補助金不交付決定について撤回求める意見を表明

    現代美術商協会、文化庁の補助金不交付決定について撤回求める意見を表明現代美術ギャラリーからなる日現代美術商協会は30日、文化庁のあいちトリエンナーレに対する補助金不交付決定について、撤回を求める意見表明を公開した。 日を代表する現代美術ギャラリーで構成された日現代美術商協会が30日、文化庁に対して補助金不交付決定の撤回を求める意見を表明した(全文は記事末尾に掲載)。 同協会は、小山登美夫ギャラリーやSCAI THE BATHHOUSEなど、日を代表する現代美術ギャラリーからなる協会で、今回の声明には有志として同協会代表理事・小山登美夫(小山登美夫ギャラリー)をはじめ、副代表理事・山裕子(ANOMALY)、顧問・白石正美(SCAI THE BATHHOUSE)など35名が署名。 文化庁の決定について、「いったん支援を決定した助成対象に対し、『審査段階で具体的な計画、脅迫が続いた

    日本現代美術商協会、文化庁の補助金不交付決定について撤回求める意見を表明
  • あいちトリエンナーレ参加作家による新プロジェクト「ReFreedom_Aichi」がスタート。「あいち宣言」草案作成やコールセンターも

    あいちトリエンナーレ参加作家による新プロジェクト「ReFreedom_Aichi」がスタート。「あいち宣言」草案作成やコールセンターもあいちトリエンナーレ2019の一企画である「表現の不自由展・その後」の展示中止と、それに関連する一部作家の展示中止に関し、同トリエンナーレ参加作家たちが協働する新たなアクション「ReFreedom_Aichi」が発表された。 一企画である「表現の不自由展・その後」展示中止に関連し、相次いで作品の展示中止が起こった「あいちトリエンナーレ2019」。この状況に対し、閉鎖されているすべての展示作品の再開を目指すプロジェクト「ReFreedom_Aichi」が発表された。 プロジェクトの主体は、あいちトリエンナーレ2019に参加している国内外のアーティストたち35組。「表現の不自由展・その後」の展示中止にともない、これまであいちトリエンナーレ2019で起こってきた

    あいちトリエンナーレ参加作家による新プロジェクト「ReFreedom_Aichi」がスタート。「あいち宣言」草案作成やコールセンターも
  • ミュージアムは「文化のハブ」になれるのか? ICOMが問い直す「博物館」の定義

    ミュージアムは「文化のハブ」になれるのか? ICOMが問い直す「博物館」の定義国立京都国際会館で開催中の第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会。その2日目に行われたプレナリー・セッション「ICOM博物館定義の再考」では、ミュージアムの理想的な姿が語られた。 ミュージアムの理想的な姿を強く訴えかける──そんなセッションが、ICOM(国際博物館会議)京都大会で行われた。 「ICOM博物館定義の再考」と題されたセッションは、今回の大会で大きな焦点となっている「Museum(ミュージアム)」の定義の見直しに関するもの。博物館の定義・展望・可能性委員会(MDPP)の委員長を務めるジェッテ・サンダールがモデレーターとなり、6人のスピーカーが登壇した。 ICOMは今大会で、ICOM規約にある「博物館」の定義を45年ぶりに大幅改正することを目指しており、その案は以下の通りとなっている。 博物館は、過

    ミュージアムは「文化のハブ」になれるのか? ICOMが問い直す「博物館」の定義
    momobookmark
    momobookmark 2019/09/03
    「移民や暴力、レイシズム、気候変動などを話し合う場でなくてはならない」「理解を深め、コミュニティとともに歩む場」「人間の尊厳や、社会正義、平等、ウェルビーイングに取り組んでいきたい」
  • 私たちは何を学べるのか? 小田原のどか評「表現の不自由展・その後」

    私たちは何を学べるのか? 小田原のどか評「表現の不自由展・その後」 「あいちトリエンナーレ2019」の一企画であり、8月3日に展示が中止された「表現の不自由展・その後」。この展示中止をめぐっては、「検閲」「表現の自由」「キュレーション」など様々な角度から議論が巻き起こっている。この企画を、「あいちトリエンナーレ2019」参加作家でもある小田原のどかが「表現の不自由展・その後」の全17の出品作にも目を向けながら分析する。 文=小田原のどか 「失敗」の研究 先月末、筆者は「広島市平和記念資料館」について書いた。展覧会レビューという形式を借り、日の戦時の「加害」について展示することをめぐって広島と長崎の二つの原爆資料館を架橋し、1996年の長崎で起こった「加害展示論争」に光を当てる内容だ。 このような論考を書いたのは、まだ日には存在しない国立の戦争博物館というナショナルな記憶の場がつくられる

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  • 椹木野衣が見た、 小泉明郎の個展「空気」

    椹木野衣が見た、 小泉明郎の個展「空気」1976年群馬に生まれ国内外で映像を学んだ小泉明郎は、国際的な舞台で日独特の要素と実験的な手法によって独自の映像表現を探究している。「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」展(東京都現代美術館)へ出品不可となった連作《空気》(2016)は、同館から徒歩圏内にあるギャラリー、無人島プロダクションにて発表された。アートにおける表現の自由と規制について議論を巻き起こした作品を、椹木野衣がレビューする。 文=椹木野衣 展示風景 © Meiro Koizumi Courtesy of MUJIN-TO Production 椹木野衣 月評第95回 空気で傷つくのは誰なのか 小泉明郎「空気」展 展は、同時期に東京都現代美術館で開催された「キセイノセイキ」展での展示が実現せず、会場ではキャプションと照明のみとなった小泉明郎の連作《空気》を、同館の近隣に位

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  • 「連帯を示すために」。展示室閉鎖、内容変更に見る「あいちトリエンナーレ」海外作家たちの態度表明

    「連帯を示すために」。展示室閉鎖、内容変更に見る「あいちトリエンナーレ」海外作家たちの態度表明「表現の不自由展・その後」で揺れるあいちトリエンナーレ2019。「表現の不自由展・その後」が「検閲」によって中止されたことに抗議し、連帯を示すため、海外作家たちが展示の一時中止や内容変更などで態度を表明した。 8月12日付でオープンレターによって自らの態度を表明した、「あいちトリエンナーレ2019」に参加する海外作家たち。17日には、実行委員会が各作家と協議の末、出品作品の展示を一時中止または内容変更を行うことを発表し、その結果が20日から会場に反映された。 「表現の自由を守る」と題したオープンレターに署名したのは、イム・ミヌク、パク・チャンキョン、ウーゴ・ロンディノーネ、タニア・ブルゲラ、ピア・カミル、クラウディア・マルティネス・ガライ、レジーナ・ホセ・ガリンド、ハビエル・テジェス、モニカ・メイ

    「連帯を示すために」。展示室閉鎖、内容変更に見る「あいちトリエンナーレ」海外作家たちの態度表明
  • 企画アドバイザーの東浩紀が「あいちトリエンナーレ2019」についてツイート。「芸術こそが友と敵をつくり出してしまった」|MAGAZINE | 美術手帖

    企画アドバイザーの東浩紀が「あいちトリエンナーレ2019」についてツイート。「芸術こそが友と敵をつくり出してしまった」「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」について、同トリエンナーレで企画アドバイザーを務める作家で批評家の東浩紀がTwitter上で発言。騒動について謝罪と反省の言葉をツイートした。 あいちトリエンナーレ2019で企画アドバイザーを務める東浩紀が、今回の「表現の不自由展・その後」をめぐる問題について初めて意見を表明した。 7月末から休暇で国外にいたことを明かした東は、今回の問題について「まずは今回のできごとについて、スタッフのひとりとして、愛知県民の皆さま、出展者の皆さま、関係者の皆さまにご迷惑をかけたことを、心よりお詫びいたします」と謝罪。「今回の事件においては、芸術こそが友と敵を作り出してしまいました」と心情を吐露した。東のアカウントは鍵がかかってい

    企画アドバイザーの東浩紀が「あいちトリエンナーレ2019」についてツイート。「芸術こそが友と敵をつくり出してしまった」|MAGAZINE | 美術手帖