1970年代に私が札幌で小学生だった頃、学校の給食でよく「クローヨー」というものが出た。豚肉と野菜の料理なのだけれど、いったいこの「クローヨー」という名称は日本語でもなければ英語でもなく、いったい何なんだ? と子供心にずっと疑問に思っていた。 あれから30有余年たち、そんな疑問を持ったこともすっかり忘れていたが、昨日、井伏鱒二の『荻窪風土記』を読んでいてこんな文章が出てきた。 「(昭和15年、当時阿佐ヶ谷にあった中華料理屋の)ピノチオの料理は、シナ蕎麦十銭、チャーハン五十銭、クーローヨー五十銭、ツァーチェー二十銭である。」 「クーローヨー」って何だ・・・古老肉、つまり酢豚のことに違いない。そこまで思い至ったところで、記憶の底に沈んでいた小学校の時の「クローヨー」が浮かび上がってきた。要するにあれは酢豚だったのね。 古老肉の中国語の発音をカタカナで表記すれば「グーラオロウ」となるが、中国でも