小説家の平野啓一郎氏が近年唱えてきた「分人主義」は、人間は一つの人格だけを生きているのではなく、対人関係ごとに異なる人格を持ち、その集合体として生きているという考え方だ。一方、田川欣哉氏率いるデザインエンジアリングファーム「takram」は、「デザイン」と「エンジニアリング」という2つの手法を一人の人間が切り替え、組み合わせながら開発する方法論を採っている。根底の視座に共通点を持つ2人が語る、これからのデザインとは。 デザインとエンジニアリングに境界はない 田川:takramはデザインエンジニアリングの会社です。デザイナーとエンジニアがチームを組むのは珍しくありませんが、takramにいるのは、エンジニアリングの経験を積んでからデザインの世界に入ってきた人、つまり一人の中に2つのスキルが同居した人たちです。彼らを「デザインエンジニア」と呼んでいます。 個人としても、会社としても、プロダクト
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