先週末、東京で開かれた研究会に二つほど出席した。どちらも、とても印象深く、かつ色々と考えさせられるものだった。その二つの研究会で共通したのは、今回の震災で、科学コミュニケーションに対する批判が向けられている、という話だった。あれだけ予算をつぎ込んでおいて、非常時にいったい何をしていたのか、という批判があるらしい。これはこれで気にかかる問題であるが、それとは直接関係なく、これらの研究会に参加して、思ったことを書いてみる。*1それは、組織と個人の関係、あるいは特殊利益と一般利益の関係の問題である。 組織と個人 私が考えている状況とは次のようなものである。日本社会における多くの個人は、何らかの組織に所属している。多くの場合、組織に雇用されるという関係にある。それは、高度な教育を受けた知的職業においてもそうで、一方で一部の医師や弁護士のように自営業的な独立性を持つ人たちもいる一方で、大部分の研究者