もう8年も前のことになるが、2001年に大学に入学した私と友人は、教養課程のシラバスに米文学者・翻訳家の柴田元幸の講義(演習)があるのを見つけて、二人して受講した。 そうした授業があることは前々から知っていた。最初に柴田元幸の名を知ったのは高校時代にふと読んだ「知の技法」だったと思う。いや、読んだときは知らなかったのだけど、柳瀬尚紀は翻訳の怪物だと「知の技法」に書いてあった、という話を、中日の山本昌によく似た高校の国語の先生としていて、いや柴田元幸という翻訳家も怪物だ、と教えてもらった。あとで「知の技法」を読み直すと、その章を書いたのが、まさに柴田元幸だった。それから受験期にかけて、英文解釈の技法の一種として柳瀬「翻訳はいかにすべきか」柴田「翻訳夜話」あたりを読んだ。駒場の柴田翻訳演習の一部(最近とみに話題の、例の人が登場した回?)を書き起こしたものが「翻訳夜話」に入っていたようである。