HPVワクチン、なぜ8年間も「空白」が放置されたのか? 感染症学が専門の森内浩幸さんが振り返る8年以上もの長い間、国が積極的干渉を差し控え、実質的な中止状態が続いてきたHPVワクチン。定期接種にする際の資料を作った感染症が専門の小児科医はどう振り返るのでしょうか? 長崎大学の森内浩幸教授に聞きました。 日本で毎年約1万人が新たにかかり、約3000人が亡くなる子宮頸がん。 その原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するのを防ぐために接種するHPVワクチン(※)は、効果と安全性が広く認められているにもかかわらず、日本ではほとんどうたれなくなって8年以上が経つ。 そこには様々な問題があった。 接種後に訴えられた症状を「薬害」であるかのように報じたマスメディア、積極的勧奨を差し止め続け、対象者の女子に情報さえ届かなくさせた厚生労働省、接種や正確な情報提供に消極的だった医療者、自治体ーー。