タグ

ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (7)

  • 「世の中の理不尽さ」や「不都合な真実」を強調して、それでどうするの?(読書メモ:『ただしさに殺されないために』) - 道徳的動物日記

    ただしさに殺されないために~声なき者への社会論 作者:御田寺圭 大和書房 Amazon いま執筆を進めている「反ポリコレ」の参考になるかと思って『ただしさに殺されないために〜声なき者への社会論』を読んでいるけれど、案の定、まったく面白くない。 Amazonレビューにもある通り、「身もふたもない現実」や「不都合な真実」、世の中に存在する残酷さや不条理さを指摘するだけであり、その現実や不条理さについて社会はどう向き合うべきか、個人はどうやって対処するべきか、といった前向きな提言や解決策はほぼない*1。 さらに言うと、こののなかで提示されている「現実」や「真実」は実に恣意的に選択されている。たとえば、昨今では男性に比べて女性だけが解放されたり社会的に尊重されていたりすることを何度も取り上げて、そのことが(弱者である)男性に対してもたらす苦痛や苦悩や理不尽さといったものが繰り返し強調されるが、

    「世の中の理不尽さ」や「不都合な真実」を強調して、それでどうするの?(読書メモ:『ただしさに殺されないために』) - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2022/06/17
    論調的には時に「冷笑」の側に立っているようにも見られるベンジャミン・クリッツァー a.k.a. DavitRiceによる白饅頭の徹底批判。彼はソフィストの典型であるとの指摘は、簡にして要。
  • 道徳と恋愛は相性が悪い - 道徳的動物日記

    道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫) 作者:カント 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 先日に「性的モノ化」についてあーだこーだ書いたが、それと関連しているかもしれない内容。 フェミニズムとかジェンダー論とかが市井に浸透して、男性たちもそういう考え方を学ぶことによって生じている副作用とか弊害とかのひとつが、「性愛や女性との関わり方に関する道徳を学んで実践することで、女性と仲良くなったり女性からの信頼を得られたりすることができる」と感じてしまう男性があらわれることだ。 つまり、男性の側が性や愛について「ただしい」意見を言ったり「正解」の振る舞い方をしたりすると、女性の側から仲良くなってくれたり優しくしてくれたりこちらを信頼してくれたりするなどのご褒美が与えられるはずである、という期待や予断のような感覚を抱く男性が増えているかもしれない、ということである。 す

    道徳と恋愛は相性が悪い - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2021/03/16
    恋愛/性愛の戯れの中で、相互の安全と倫理に配慮しつつ〈安全に〉侵犯することは充分可能だと思う。性愛と暴力性がギリギリまで近接するSMの世界で「セーフワード」というマナーが確立してるのは偶然じゃないよ。
  • 「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記

    出勤前に、サクッとメモ的に書いておこう。 Twitterはてなブックマークをはじめとしたネット・SNS界隈では、十年一日という感じで、相変わらず「社会学叩き」が盛んだ。 といっても他人事ではなくて、このブログでも、過去に、社会学や社会科学の現状について批判するHeterodox Academyの記事を訳したことがある。 davitrice.hatenadiary.jp davitrice.hatenadiary.jp また、わたしもちょっと関わっている『経済学101』でも、社会学を批判する記事が訳されて投稿されることがある。代表的なものは、ジョセフ・ヒースによる以下の記事だろう。 econ101.jp ヒースの記事における「規範的社会学」という言葉に示されているように、これらの記事で問題視されていることは、「社会学(社会科学)が、特定の道徳的規範・政治的規範に影響を受けすぎている」ことで

    「社会学叩き」についての私見 - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2021/02/03
    自分もskasugaと同門の文化人類学出身で、この分野も(特にWriting Culture以降)規範性を指向する研究が増えた。でも、そうした研究が社会的公正と人類の知的拡張に資することはあっても、妨げていると思ったことはないな
  • 読書メモ:『ジェンダーの終わり:性とアイデンティティに関する迷信を暴く』(1) - 道徳的動物日記

    The End of Gender: Debunking the Myths about Sex and Identity in Our Society (English Edition) 作者:Soh, Debra 発売日: 2020/08/04 メディア: Kindle版 裏表紙の賞賛コメントには『人間の性を考える: 心は「空白の石版」か』の著者でもあるスティーブン・ピンカーや『共感する女脳、システム化する男脳』の著者であるサイモン・バロン・コーエンの名前があるところから、「男女の生物学的な性差に関するかな」と思って購入してもらったのだが、実際にはトランスジェンダーやノンバイナリー(Xジェンダー)に関する議論が中心のだった。 また、内容としては明らかに「保守」寄りのものである(そのためか、ヘザー・マクドナルドやベン・シャピロなどの保守論客も裏表紙に名を連ねている)。そして、この

    読書メモ:『ジェンダーの終わり:性とアイデンティティに関する迷信を暴く』(1) - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2020/12/15
    本の論旨に全面的に乗っかってる評かなーと期待せずに読んだら案外冷静に評価していた。ごめん/「TERF/TRA」という構図自体が問題の調停ではなく相互の反感と憎悪を煽る形になってしまった。リスタートが必要だと思う
  • 「男性同士のケア」が難しい理由 - 道徳的動物日記

    2024/5/15 追記:この記事で取り上げているの邦訳が出版されます。 男はなぜ孤独死するのか 男たちの成功の代償 作者:トーマス・ジョイナー 晶文社 Amazon 近頃では、「これからは男性同士でもケアし合わなければならない」と言った主張がちらほらとされるようになっている。 この主張がされる文脈は様々だ。「これまでの社会は女性にケア役割を押し付けていたが、これからは男性も平等にケア役割を担うべきである」という問題意識に連なる主張である場合もあるだろう。 また、女性の恋人やがいないことで「女性からの承認」を得られないと悩んだり「孤独」になることを恐れる男性に対して、「そもそも"自分は異性のパートナーにケアしてもらうべきだ"という発想を捨てて、同性との相互にケアし合う関係を築く可能性に目を向けてみるべきだ」という批判込みのアドバイス的な意味合いで、「男性同士のケア」が提唱される場合もあ

    「男性同士のケア」が難しい理由 - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2020/11/11
    環境的要因のとこも結局は生得的要因(女性は人への関心が高い)に帰着しててすげえ本質主義的。人類学的には男性同士のケア関係の事例も色々あるし、本邦も社会全体の一種の適応として段々そうなると思うけどな
  • 現実の問題を解決することから遠ざかるラディカリズム(『反逆の神話』読書メモ:後半) - 道徳的動物日記

    反逆の神話:カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか 作者:ジョセフ・ヒース,アンドルー・ポター 発売日: 2014/09/24 メディア: 単行(ソフトカバー) カウンターカルチャー的な分析からは、決まったパターンが浮かびあがってくる。社会問題はどれも、大量生産、マスメディア、自然の技術的支配、または単に回帰や同調への欲求かもしれないが、いずれにせよ大衆社会の基的特徴が原因と考えられる。だが、こうした説明がきわめて問題含みなのは、経験上正しくないことに加えて、具体的な社会問題一つ一つを、当然誰も変えようとは思わない(求めない)ような現代社会の特色と結びつける効果があるからだ。つまり、この説明は、あたかも「体制」がまるごと社会問題全般の原因であり、したがって体制の完全な転覆に達しない方策では問題を解決できないように思わせるのだ。そうして、多数のごく扱いやすい問題をとうてい解決

    現実の問題を解決することから遠ざかるラディカリズム(『反逆の神話』読書メモ:後半) - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2020/08/26
    ここで引用されてる「パンクの活動」とそれを称賛する人々がどう滑稽なのかわからない。消費資本主義と距離を取りautonomousであることを当事者が楽しんでて、生活上の課題も解決できてて、別にラディカルでもないのに
  • 広島・長崎への原爆投下の是非についての、マイケル・シャーマーの議論 - 道徳的動物日記

    オバマ大統領が広島を訪問することや、そこで「謝罪」はしないであろうことの是非を巡って議論が起きているようだ。 最近読んでいたマイケル・シャーマーの『Moral Arc』のなかで、「ファットマンの道徳、リトルボーイをめぐる論争」という題の、広島・長崎への原爆投下の是非が論じられている節があった。『Moral Arc』は科学や理性の発達が人類の道徳にもたらす影響について論じたであり、基的に楽観的・進歩主義的な主張をしており、核戦争を防ぐ手段や世界の非核化を導く道筋について論じている説もある。その部分も興味深いのだが、広島・長崎への原爆投下について肯定的な主張が日で論じられることは少ないので、参考として紹介しておく。 該当の説は、原著のハードカバーでは71ページから74ページに掲載されている。Google Booksなどでも参照できるだろう。 The Moral Arc: How Scie

    広島・長崎への原爆投下の是非についての、マイケル・シャーマーの議論 - 道徳的動物日記
    muchonov
    muchonov 2016/05/16
    これ古典的なトロッコ問題の論法の再演にすぎないし、シャーマーのジェノサイドと道徳の定義に従えばノータイムでこの答が出てくるのも自明。それって真に思考し逡巡すべき問題を「定義」の側に隠蔽しただけだよね。
  • 1