■画家×歌人×文学者 書簡を分析 有島武郎の小説「生れ出づる悩み」のモデルになった画家木田金次郎、小樽の歌人高田紅果、小樽経済専門学校(現小樽商大)教授となる文学者で経済学者の早川三代治。この3人の友情と、大正時代の小樽の芸術や文学活動をたどった「〈緑人社〉の青春」が刊行された。 3人は、小樽の絵画サークル「緑人社」や文化団体「啓明会」を通じて面識があった。著者の近代文学研究者亀井志乃さん(48)=岩見沢市在住=は、木田と高田が、ドイツに留学していた早川に宛てた書簡を分析。3人の交流の様子や小樽の文化活動の状況を読み解いた。 書簡からは、木田が東京の画展で見た表現主義に傾倒し、画風では有島の影響から脱しようとしていたことがうかがえる。また、高田は石川啄木の信奉者とみられてきたが、有島からも影響を強く受けていたようだという。 収録した書簡は1921〜25年の約30通。多くは未公開で、