にがりとみられる白い物質が付着した製塩土器の破片を見せる神野恵・展示公開活用研究室長(右)と、エックス線で分析した大迫美月・アソシエイトフェロー=奈良市の奈良文化財研究所で2024年8月30日午後4時22分、稲生陽撮影 西大寺(奈良市)で出土した奈良時代の製塩土器から、海水を煮詰めて塩を作った際に混ざる「にがり」が初めて検出されたことが奈良文化財研究所の研究で分かった。にがりと製塩土器の組み合わせは一見当たり前に思えるが、これまで検出されたことはなかった。しかも、出土した製塩土器でも、にがりがたまる底部分の破片だけほとんど見つかっていないという。その理由とは――? にがりは海水中の塩化カルシウムや硫酸ナトリウムなどからなる成分。海塩は古代から若狭(福井県)や播磨(兵庫県)、紀伊(和歌山県)などから奈良に運ばれていたことが分かっているが、にがりを落としながら陸路で運ぶ朝廷向けの若狭産と違い、