ブタジエンをバイオマス(化石資源を除く生物資源)から合成する基礎研究が活発になってきた。理化学研究所(以下、理研)と横浜ゴム、日本ゼオンは、バイオマスから効率的にブタジエンを生成できる技術を開発した。ブタジエンは合成ゴムやエンジニアリングプラスチックの主原料で、世界市場規模は年間1200万トン(t)に上る。現在は化石資源に頼っているブタジエン生産のカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)化を目指す。 理研らは、大腸菌を菌体触媒として、グルコース培養液1Lの発酵槽で2.1gの1,3-ブタジエン(以下、ブタジエン)を生産することに成功した。生産量は微量だが、化学合成なしの1工程でバイオ生産する事例は世界初であり、その意義は大きいという。「今後はグルコース培養液1Lで50gのブタジエンを生産することを狙う。そこまで高効率になれば量産と言えるだろう」(横浜ゴム)。