五島列島は日本の最西端に位置し、九州長崎の西方100kmに浮かぶ大小140余りの島々からなり、国境の島として、海上交通の要衝の地として交流を行ってきた。「古事記」「肥前国風土記」「万葉集」「日本後記」「続日本後記」「蜻蛉日記」などにその名が出てくる。 東シナ海に浮かぶ五島は、黒潮(対馬暖流)と季節風を使って海を渡る民にとっては、水の豊かな緑あふれる島として知られ、遣唐使時代には、遣唐使船最後の寄泊地として、さらに日宋貿易に引き継がれ、中世には、室町幕府の勘合貿易船、江戸時代の日明貿易、日清貿易の寄港地にもなり、海外貿易の拠点として栄えた。江戸時代には、1万2600石の五島家が治めていたが、城はなく陣屋であった。カトリック教会や神社仏閣、城跡や武家屋敷など数多くの歴史遺産が今も残っている。