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ブックマーク / spqr.hatenablog.com (3)

  • 「2つの使用人問題」を巡る19世紀末時点での女主人の見解 - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

    英国メイドの終焉を語る際には、「使用人問題」という言葉は欠かせません。英語では「The Servant Problem」「The Servant Question」と表記するこの問題は、時代によって「何が問題か」という意味が異なりました。 まず、19世紀末までに表面化した大きな問題は「優秀な使用人のなり手不足」です。こちらの見解は主に中流階級の女主人(=メイドの雇用主)の間で強い支持を受け、使用人個人の資質に対する攻撃や不満を含んだものでした。いわく、「昔の使用人は優秀だった」、いわく「メイドの質はひどく、訓練が足りない」など。 もう一つの視点が、同じ「なり手不足」でも、「メイドという職業全体」への需要に対する供給不足という、より高いレベルでの構造的問題を扱うものです。こちらが大きく顕在化し、政府が取り組み始めたのが第一次世界大戦に前後した時代で、1920年代以降はほとんどの場合、個人の資

  • 魔王と勇者の物語から受け取ったもの - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

    昔読んだ『坂の上の雲』や『竜馬がゆく』で扱う題材がテレビドラマ化される中で、これらの作品は「その刊行当時、自分たちの社会や国を考え直す作品」としての位置づけがあったと思います。確か、ヴェネツィアを扱った塩野七生さんの『海の都の物語』や国家の栄枯盛衰を扱った『ローマ人の物語』も同様で、個人的にはこの界隈の小説が大好きです。 若い人向けの小説、という表現で良いのかわかりませんが、こうした国家や社会について大局的にものを見る小説の中には、『銀河英雄伝説』があります。ただ、相当前の日で作られた作品で、普遍性があるとはいえ、今の時代は映していません。そこで、今の時代に『銀河英雄伝説』的な視点で物を見る、今を生きる世界の視点を相対化する小説ってあるのかなぁ、あったら読みたいと思っていたところに出会ったのが、最近、ウェブで熱くなっている『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』(以下、『まお

    魔王と勇者の物語から受け取ったもの - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん
  • 出版社から出ることで同人誌はどう変わったか? - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん

    はじめに 『英国メイドの世界』へのAMAZONレビューでいただいた「平易で十全」や「今までにあった家事使用人研究のどの文献よりも読みやすい」と評価していただけたことは、自分にとって響くものでした。同人誌から品質を上げていく際、講談社BOX編集部と共に最もこだわった部分だからです。 読者の方には「読み、感じたことがすべて」です。制作側の意図は評価対象となりませんが、「同人版との違い」「出版社で出すことで得られたこと」を自分として確認する目的で、以下に今回の講談社BOX版で目指した「読みやすさ」を実現するために何をしたかを記します。 『英国メイドの世界』は2つの意味で、私がこれまで多くの研究書を読む中で感じたことや、同人誌を作る中で研鑽したことを踏まえた理想を追求しました。 ・1.日に存在しないでかつ、初心者だった頃の自分が読んで楽しめる ・2.物理的に読みやすく、読んだ内容が頭に残るこ

    出版社から出ることで同人誌はどう変わったか? - ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん
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