【ロサンゼルス=松尾理也】政府が麻薬密輸組織取り締まりに軍を投入し、「麻薬戦争」ともいえる状態が続いているメキシコで、頭部を切断された兵士ら9人の遺体が一度に発見される事件など麻薬組織の残虐な報復が多発し、国民を恐怖に陥れている。麻薬組織がらみの殺人は今年に入って5376件と、2007年の2倍以上に急増。こうした動きに、米政府は「わが国が直面する最大の脅威のひとつ」と危機感を募らせている。 21日、9個の頭部と頭部のない遺体9体が発見されたのは、南部ゲレロ州の州都チルパンシンゴ。兵士8人と元警察幹部1人の遺体とみられる。頭部はポリ袋に詰められ、「われわれを1人殺せば、お前たちは10人死ぬことになる」とのメモとともに、市内のショッピングセンターに放置されていた。 メキシコでは、現カルデロン大統領が2006年12月に就任すると同時に、国家的課題として麻薬組織の撲滅を宣言。腐敗が指摘されてきた警