■要旨 待機児童対策の財源に充てるため、今国会に、企業が支払う「子ども・子育て拠出金」を引き上げる法案が提出されている。昨年の衆議院選挙で与党が大勝した直後、政府が経済界に引き上げを要請し、経済界が承諾したものである。しかし、引き上げによる企業の追加負担は年間3,000億円になる。企業はこの金をどこから出してくるのだろうか。 企業の負担が増えれば、いずれは賃金や雇用量が削減されるなど、負担が労働者に転嫁される可能性がある。待機児童対策の恩恵に預かることのない労働者が、気づかぬうちに負担を負わされることになり、社会保障として給付と負担のバランスがとれなくなるのではないだろうか。このことを認識した上で、待機児童対策の財源のあり方を見直し、利用者負担を増やしたり、企業負担に差をつけたりすることを検討すべきではないだろうか。 ■目次 1――はじめに 2――子ども・子育て拠出金とは 3――子ども・子