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ブックマーク / ieei.or.jp (123)

  • 太陽光大量導入の不都合な真実

    再エネ拡大は必至 菅首相は4月22日に米バイデン大統領が主催した気候変動サミットに合わせて、2030年の温室効果ガス削減目標を13年比で46%削減し、さらに50%削減の高みを目指すと宣言した。従来の26%削減目標から一気に20%も上積みしたことになる。13年の排出量が14.1億トンなので46%削減でも7.6億トンを目指すことになり、直近の19年度排出実績12.1億トンから11年間で4.5億トンも削減しないといけない計算となる。これを実現するためには省エネの最大限の実施と自動車の電動化に加え、電力の脱炭素化が必須となるが、大規模脱炭素電源である停止中の原発の中で、審査終了・審査中を合わせて18基の原発が、20年以降にすべて稼働しても注1)、CO2削減に貢献するのは約7000万トン前後注2)である。そこで期待されているのが再エネの導入拡大であり、中でも計画から建設までの足が短く、FIT制度等に

    太陽光大量導入の不都合な真実
  • 地球温暖化の科学的不確実性

    地球温暖化に科学的不確実性があり、それが大きいことは、IPCCもはっきりと報告している。しかしながら、このことは温暖化対策が語られる時に、しばしば無視されている。いったい何が不確実性なのか、稿では最近発表された海外の解説記事を紹介しつつ、分かりやすく説明する。 1 稿で利用する海外の解説記事 地球温暖化の科学的不確実性については、従前より多くの論争がなされてきた。中にはあまり質の高くない(ないし品の無い)議論もあった。 だが最近になって発表された以下の解説は、自然科学の知見をまとめたIPCC第5次評価第1部会報告(IPCC 5th Assessment Report Working Group 1, 以下 IPCC AR5 WG1ないしは単にIPCC、またはAR5とする)、に対して批判的な論調を含みつつも、分かりやすく、内容も優れていると筆者は判断した。稿では主にこの2つの解説を参照

    地球温暖化の科学的不確実性
  • ドイツ、2017年の温室効果ガス排出量推定値を公表、前年比で若干減少 – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    ドイツ連邦環境庁は、2017年の温室効果ガス排出量推定値を公表した。これによると、ドイツ国内の2017年の温室効果ガス排出量は9億470万トンとなり、前年比で約470万トンの減少となった。エネルギー部門の排出量が大幅に減少した一方で、交通部門と産業部門の排出量は増加した。1990年比では、27.7%の減少となった。シュルツェ連邦環境大臣は、「2017年の推定値の結果は様々である。再生可能エネルギーの拡張により多くを達成したが、交通部門では残念ながら誤った方向に進んでいる。気候保護と大気汚染の改善を進めるために根的な交通シフトが必要である。今政権では、今年中に気候保護法案を準備し、2019年の承認を目指す。これにより、2030年目標の達成を確実にする」と述べた。 エネルギー部門では前年比で1370万トン(4.1%減)を削減したが、これは、風力発電の増加により石炭の使用が削減したこと、さらに

  • 太陽光発電が急拡大する九州

    再エネの受け入れ状況 九電管内で系統連系済みの太陽光は741万kW(2017年7月末現在、離島を除く)あり、直近5カ月は月平均10万kW程度のペースで増加しています(図1)。 政府が15年にまとめた長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)では、2030年度の電源構成を再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、石炭火力26%、LNG(液化天然ガス)火力27%、石油火力3%と見通しています。 一方、九電管内の16年度の電源構成は、再エネ(一般水力含む)18%、原子力14%、石炭火力31%、LNG火力33%、石油火力3%。再エネは政府の目標に近づいています。 ゴールデンウイーク中の2017年4月30日午後1時には、770万kWの電力需要に対し、太陽光による出力が565万kWとなり、太陽光が電力需要に占める割合が一時73%に達しました(図2)。連休中は工場などが稼働せず電力需要が落

    太陽光発電が急拡大する九州
  • 「地層処分」って何?(2)

    ※ 「地層処分」って何?(1)~「誰がなぜゲーム/地層処分場版」で考えよう~ (ⅲ) 「誰がなぜゲーム」 さて、この難題を問う「誰がなぜゲーム/地層処分場版」の当日の進行を紹介しよう。ゲームの前に、NUMOから、最低限必要とされる知識として、「高レベル放射性廃棄物とは」「なぜ地層処分なのか」「地層処分事業の進め方」などに関する講義を提供した。その後、「政府からA町に、高レベル放射性廃棄物の地層処分場を建設したいという計画が提示された」というシナリオを用いて、8~9人単位のグループでゲームを開始した。 ゲームの手順は以下の通り。 まず参加者(プレイヤー)は上記のシナリオを読了した後、各グループ内で、地層処分場をめぐる「町の住民」・「原子力安全規制委員会(識者・専門家から成る仮想の機関)」・「国民多数者」・「政府機関」という4アクターに割り当てられた。その上で、各々が割り当てられたアクターの視

    「地層処分」って何?(2)
  • 日本の再生可能エネルギー普及を「真面目に」考える(その2)

    (「環境管理」からの転載:2018年5月号) 再生可能エネルギーを主力電源として活用していくにあたり、喫緊の課題として挙げられるのが送電線への接続問題であることは前回述べた通りだ。「鑿のみと言えば槌つち」といわれるように、電気は発電したら送電できなければ意味がない。一般の消費財も生産手段と流通手段の両方を確保しなければ意味がないのと同じだ。 現在わが国は、再生可能エネルギーの電気を高値で買い取ることによって再生可能エネルギーの普及促進を図っているが、これは発電設備に経済的インセンティブを与えるだけの施策であるので、送電設備投資を促す経済的インセンティブがないばかりか、発電設備と送電設備全体で考えて社会的なコストを最小化するといった視点は含まれていない。 再生可能エネルギーの導入が容易な安価な土地には、基的に十分な送電設備がない。人口や産業が密集していないから土地が安価なのであり、そうした

    日本の再生可能エネルギー普及を「真面目に」考える(その2)
  • 復興の形(1):「暴走老人」の開く道

    「高齢化、高齢化、って騒がれると、自分らが帰還しちゃいけない、って言われている気になるよね」 高齢者の健康問題についてお話しした後、あるお年寄りが苦笑いしながら言われました。 全国の多くの地方と同じく、被災地では急速な高齢化がしばしば社会問題として取り上げられます。いわゆる「生産年齢」ではなくなり、近い将来要介護者になる住民が多い社会。私たちの中には、そういう社会に対する漠然とした不安感があると思います。 たしかに被災地に真っ先に帰還した方の大半は、60代以上の方です。ではそれは、 「ほかに行くところがなく、仕方なく戻ってきたお年寄り」 の姿なのでしょうか?これまで復興の地を見ていると、それは逆ではないか、と感じることがよくあります。 津波と原発事故に全てを奪われた街で、がれきの山に向かって一歩を踏み出す強さ。それは何よりもまず「長い年月を生きる」ということを知っている者にしか持てない力だ

    復興の形(1):「暴走老人」の開く道
  • ハリケーン・サンディによる米国東部大規模停電が問いかけたもの

    で大きく報道されることはなかったが、2012年10月末に米国東海岸に上陸したハリケーン・サンディは、ニューヨーク市を含め合計850万軒という過去最大規模の停電を引き起こした。ニューヨークでも計画停電の実施に加え、ほぼ1ヶ月間停電の続いた地域があったなど、被害の全貌が明らかになりつつある。一方わが国では2011年3月11日の東日大震災直後の首都圏での停電や延べ10日間にわたって行われた計画停電が記憶に新しい。2010年代に入って発生したこれらの大停電は、大規模自然災害によって大都市圏で生じたという点で似通っている。サンディによる停電被害と復旧の経緯を振り返りながら、東日大震災後に生じた「停電と電力システム」にかかわる国内の議論を検証してみたい。 1.サンディによる停電被害 10月29日から30日にかけて米国を襲ったハリケーン・サンディは、最盛時の中心気圧940hPa・最大瞬間風速48

    ハリケーン・サンディによる米国東部大規模停電が問いかけたもの
  • 真の原子力再生に必要なことは何か?

    はじめに ~東京電力の惨状 日ばかりか全世界をも震撼させた東日大地震。大津波による東電福島第一原子力発電所のメルトダウンから2年以上が経つ。それでも、事故収束にとり組む現場ではタイベックスと呼ばれる防護服と見るからに息苦しいフルフェイスのマスクに身を包んだ東電社員や協力企業の人々が、汗だらけになりながらまるで野戦病院の様相を呈しつつ日夜必死で頑張っている。 東電に事故を防げなかった落ち度があることは間違いない。伝え聞けば、電源喪失して半日程度で炉内の水位が低下し炉心露出に至る可能性も、15mを超える津波が来る理論上の可能性も、少なくとも東日大地震の2年前には東電原子力部門の責任者まで認識されていたと言う。リスク管理の常識からすると重要施設の水密構造化や予備の外部電源接続用配線工事くらいはしておくべきだったろう。それでメルトダウンが当に防げたかどうかは分からないが、事業者の良心からす

    真の原子力再生に必要なことは何か?
  • ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ③

    前々回①では、 ・ドイツの電源計画が自国で産出する褐炭(石炭の中でも品質の悪いもの)を主に、化石燃料を中心とする構成になっていること。 ・北部に大量導入した風力発電による電力を消費地である南部に届ける送電線の建設が遅れていること。その不安定な電源が流入する近隣国から苦情が出ていること。 ・発電設備容量と発電電力量の比較を通じて、ドイツ太陽光発電設備の大量導入には成功したものの、それが生み出す電力があまりに少なく、導入の経済的負担に対する反発が大きくなっていること。 前回②では、 ・ドイツでは1998年の自由化開始当時と比較して電力料金が上昇していること(家庭用では2000年時点に比べ、1.8倍以上) ・ドイツの電力料金を押し上げている主要因が税金・再生可能エネルギー導入賦課金であること。 ・エネルギーコストと供給不安により産業空洞化が懸念されていること。 などをご紹介した。前回に引き続き

    ドイツの電力事情―理想像か虚像か― ③
  • NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    2012年は国連気候変動枠組条約が1992年のリオ地球サミットで採択されてから20年目にあたる、世界の環境外交にとって節目の年。また、京都議定書の下、日欧などの先進国が温室効果ガス排出削減の義務を負ってきた第1約束期間の最終年でもあり、明年からの世界の温暖化対策のあり方について内外で様々な議論が行われています。 年末にカタールのドーハで開催されるCOP18では、昨年のCOP17での「ダーバン合意」を踏まえ、全ての締約国に適用される新たな国際枠組みの構築や、京都議定書「延長」問題、途上国支援などの課題について議論がなされる予定です。 連載では、これまでの気候変動交渉の歴史を振り返りつつ、特にコペンハーゲンCOP15以降の動きに焦点をあてながら、近年の国際交渉における主要論点と日の対応、新たな国際枠組みの展望、日の果たすべき役割について、主に外交的観点から論じていきます。外からは見えに

    NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
  • 停電と発送電分離を論じるための基礎知識

    発送電分離を主張する論者が、「発送電分離をしても停電は増えない」と主張するのを時々見かけるが、論点がずれていると感じることが多い。おそらく、停電が起こる原因が何かとか、日で停電が少ないのはなぜかといった点の理解が欠けているためと思われる。 停電のほとんどは送配電設備の故障によるもの 停電が起こる理由は大きく二つある。ア)送配電設備の故障によるものと、イ)電気が足りないこと、つまり需要に発電能力が追いつかないことによるものの二つである。そして先進国においては、(正確な統計があるわけではないが)停電の99%は前者、つまり送配電設備の故障によるものだ。 したがって、「日の停電時間が短いのは、発電設備に過大投資をしてきたからだ」「発送電分離をしても、送電会社がリアルタイム市場で供給力を確保するから停電は増えない」といった主張を時々見かけるが、上記のように電気が足りないことによる停電は稀である。

    停電と発送電分離を論じるための基礎知識
  • NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    2012年は国連気候変動枠組条約が1992年のリオ地球サミットで採択されてから20年目にあたる、世界の環境外交にとって節目の年。また、京都議定書の下、日欧などの先進国が温室効果ガス排出削減の義務を負ってきた第1約束期間の最終年でもあり、明年からの世界の温暖化対策のあり方について内外で様々な議論が行われています。 年末にカタールのドーハで開催されるCOP18では、昨年のCOP17での「ダーバン合意」を踏まえ、全ての締約国に適用される新たな国際枠組みの構築や、京都議定書「延長」問題、途上国支援などの課題について議論がなされる予定です。 連載では、これまでの気候変動交渉の歴史を振り返りつつ、特にコペンハーゲンCOP15以降の動きに焦点をあてながら、近年の国際交渉における主要論点と日の対応、新たな国際枠組みの展望、日の果たすべき役割について、主に外交的観点から論じていきます。外からは見えに

    NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
  • NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    今回の震災が残した教訓を踏まえて電力システムの改革を行っていくことは重要であるが、エネルギー・電力は国の安全保障の根幹であることを忘れてはならない。今回の震災の結果、国の原子力政策は大きく揺らいでいる。日の原子力政策はいわゆる「国策民営」で進められてきたが、実際には事故賠償などについて国の法的な責任が明確ではないことが今回明らかになった。今後の原子力の進め方について、官民のリスクや責任分担について一定の方向性を出すことなしに、電力供給システム改革の議論を進めても意味はない。その点、現在の政府における議論の進め方は原子力とその他の問題が一括して扱われておらず、問題の検討体制として不十分かつ不適切ではないかと思料する。 当研究会では、電力システム改革を議論するにあたって、押さえるべきポイントを今後何回かに分けて整理してみたい。(電力改革研究会)

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  • 地球温暖化が止まっている?

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」6月号からの転載。) 「微妙な問題」 年3月30日付の英「エコノミスト」誌が上記タイトルの記事を掲載して静かな波紋を引き起こしている。いわく「温室効果ガスの排出が増え続けているにもかかわらず、過去15年以上地表の大気温度は横ばいを続けている」。以下、稿では同記事の内容を引用・紹介しつつ、問題の背景について解説する。 「2000年から2010年にかけての温室効果ガスの累積排出量は1000億トンに上り、これは1750 年以来、人類が排出したCO2の4分の1に上る。しかしNASAゴッダート宇宙研究所のハンセン所長によれば、世界の平均気温はここ10年以上上昇していない」という。この温暖化停滞のニュースは驚きをもって迎えられたが、実はこれは気象学者の間では周知の事実だったようだ。 不都合な真実? 昨年12月に英国気象庁(Met Office)が地球気温の最新のトレン

    地球温暖化が止まっている?
  • 断熱の常識を超えた省エネ塗料“ガイナ”とは

    これから梅雨を迎え、梅雨を過ぎるとぐっと気温が上がって暑くなります。天候や気温に関係なく、できれば室内で一年中快適に過ごせれば心も体も軽くなりそうですね。そんな思いを実現させてくれるすごい塗料があると聞きつけました。外装に塗っただけで、夏の暑さや冬の寒さ、騒音、臭いなどのストレスを軽減し、快適な住環境を実現してくれ、一度塗れば10年経っても効果が持続するというのです。その名は、“ガイナ“。開発製造を行う日進産業(東京・板橋区蓮根)にさっそく伺いました。 事例紹介 社内の一室に案内されると、日進産業代表取締役の石子達次郎氏が「ガイナの効果を実感してもらうため目の前で実験して見せましょう」と、ガイナと一般アクリル塗料を塗布した2枚の鉄板を使ったデモンストレーションをしてくれました。屋根にガイナを塗った場合とそうでない場合、夏の日射を想定して、鉄板に100Wの電球を当て、屋根の裏にどれだけ熱が通

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  • 需要側のスマート化で計画停電を防げるか

    2011年3月11日に発生した震災直後の計画停電と同年夏に実施された電力使用制限は、わが国の電力システムのあり方に疑問を投げかけ、今回の電力システム改革のきっかけとなった。2012年7月に政府が公表した「電力システム改革の基方針」では「電力使用制限や計画停電などの強制措置ではなく、価格シグナルが働き、市場で需給が調整されるシステムへと転換する。」とされているが、その後の電力システム改革専門委員会ではむしろ発送電の法的分離が論点として大きく取り上げられ、計画停電など強制措置の回避策については、価格シグナルや市場の活用という以上に議論が深まることはなかった。 この問題はこれから開始される詳細検討でも取り上げられると思われるので、ここで簡単に考察してみたい。 1.需給バランスと計画停電 「日の停電時間が短いのはなぜか」で解説した通り、電力システムでは瞬時瞬時の需要と供給を一致させる必要があり

    需要側のスマート化で計画停電を防げるか
  • どこで、どのように? PM<sub>2.5</sub>はこんな風に生まれる。

    今回、第4回ではPMの発生・除去といった過程と一次粒子、二次粒子についてお話ししたいと思います。 大気中に放出された粒子は気流によって移流、拡散され、その過程で成長、反応し変質します。これらの一部は近年中国から日への移流の影響が話題となっているように長距離を移流するものも存在します。そして粒子は霧や雨に取り込まれ、あるいはそのまま沈降して大気から除去されます(図1)。 この大気中の粒子は生成過程によって一次粒子と二次粒子に分類されます。図2に示したように、発生源から直接排出される粒子は一次粒子と呼ばれ、一方、発生源からガス状物質として排出されて、大気中で粒子になったものは二次粒子と呼ばれます。これら粒子の発生源としては土壌、海塩粒子等の自然発生源と主に化石燃料の燃焼から排出される人為発生源があります。化石燃料の燃焼ではガス状で放出される一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、炭化水素(

    どこで、どのように? PM<sub>2.5</sub>はこんな風に生まれる。
  • 誤解を招く里山生活でのエネルギーの自給

    田舎暮らしが日の解決策になる? 戦後の経済成長に支えられた日でのマネーに依存した資主義社会における都市生活が大きな矛盾を抱えるようになった一方で、若者から見捨てられた高齢化過疎地が広がっている。その過疎地に、マネー依存の生活から離れた新しい価値観を求める人々がUターンあるいはI ターンしている。その人たちの田舎暮らしの生活の実態を、「里山資主義」として紹介しているのが表記の藻谷らの著書(以下、書、文献1 )である。 GDPを指標として経済成長優先で進められてきた都市生活での物質的な豊かさを追求してきたマネー資主義が世界中で行き詰ってきたなかでも、政府は、いま、紙幣を増刷して円安を誘導し、国内景気を煽ることで、失われた20年と呼ばれるデフレからの脱却を図ろうとしている。このアベノミクス政策では、一部の輸出産業を一時的に振興して輸出金額を増加させるが、逆に、円安に伴う、エネルギーや

    誤解を招く里山生活でのエネルギーの自給
  • 四季折々、七変化?-季節で変わるPM<sub>2.5</sub>

    さてPMの濃度は一年の中で一定なのでしょうか? それとも何らかの原因によって変化するのでしょうか? また、近年PMの濃度はどのように推移してきたのでしょうか? 今回はPMの濃度の季節変化、ならびに経年変化についてお話ししたいと思います。 図1は東京・九段における約10年間のPM化学成分の平均季節変化を示しています。PM濃度は、気象的な要因と光化学反応により季節変化が見られます。冬季は光化学反応が起こりにくい反面、地面温度が低く、太陽熱輻射(ふくしゃ)も弱いために空気の対流が弱くなり安定することが多くなります(接地逆転層の形成)。その結果、地表から排出される汚染物質が澱んで高濃度化しやすくなります。夏季は空気が活発に対流し、PM濃度の低い上層の大気と混合されるため濃度が低下する反面、光化学反応により生成する二次粒子により濃度増加が考えられます。 微小粒子の季節変化は、質量濃度では(a)に示す

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