共犯の2人にそれぞれ、自白すると有利な条件を示して司法取引する場面を考える、「囚人のジレンマ」というゲーム理論の問題提起がある。囚人たちは協調し合ったほうが得なのだが、1度だけの取引では、実際には両者とも裏切り合う結果になるそうだ。これをお金を使ったゲームにした行動実験に長年取り組んできた、山岸俊男教授。その著書『安心社会から信頼社会へ』や『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』を手に取られた方も多いのではないだろうか。玉川大学脳科学研究所脳科学研究センターに、山岸俊男教授を訪ねた。 この秋から約500人の一般の方々に、人間同士の相互依存関係をお金で表現した、いろんなゲームに参加していただきます。たとえば参加者で2人組をつくって、それぞれが実験者から1,000円もらい、それを相手に提供するかどうかを決めてもらいます。提供したお金は、2倍になって相手にわたることにします。もしお互いに提供し合えば