タグ

ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (9)

  • 裁量労働制の拡大をめぐる経済学メモ

    政府の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」は簡単にいうと二つの構成要素からなっている。一つは残業時間の上限規制の強化、そしてもう一つは裁量労働制の拡大である。 政府が労働時間に介入することの正当化は、通常の経済学ではかなり例外的なものととらえられる。だが私はこのブログや自分の著作・論文の中でも常に書いてきたように、新古典派的な労働経済学の発想には反対である。通常の新古典派的な労働経済学では労働者と資家(雇用者)は対等の交渉相手として設定されるのが「標準」である。だが実際には労使の交渉上の地歩は異なり、労働者よりも資家(雇用者)の方が交渉力は上である。このようないわば「権力」の差異があれば、労働者の働く位置は生存水準ぎりぎりの労働時間(余暇)と報酬の組み合わせに落ち込む可能性がある。このような労働市場観は経済学歴史の中で常に存在してきたし、また実際の社会政策や

    裁量労働制の拡大をめぐる経済学メモ
  • 齊藤元章&井上智洋『人工知能は資本主義を終焉させるか 経済的特異点と社会的特異点』 (PHP新書)

    井上さんから頂戴しました。ありがとうございます。 書はいま補助金不正受給問題で逮捕されている齊藤元章氏との対談ということで別の意味で話題になりそうでしたが、幸運なのかなんだかわかりませんが、ひとまずそういう事件とは無縁のところで読むことができる書籍です。 ビジネスパーソンが、これからの世界の社会・経済をざっくりと新しい視点(人工知能世界の進展)から見渡すことができるいいではないでしょうか? 齋藤氏は僕はこので初めて存在を知った程度でよくは知らないのですが、かなり押しの強い人だな、と思う反面、ちょっともう少し勉強もされたほうがいいかな、とも思いました。例えばご自身の独想的なものだと書で指摘している「日が失われた20年にもし5%成長したら名目GDPがどのくらいになったか」という話ですが、これはリフレ政策の基的な認識のひとつで、20数年間にデフレで失われた名目価値の回復こそが来のリ

  • 『ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学』、脂肪税とエロマンガ規制 - Economics Lovers Live

    頂戴しました。ありがとうございます。書はノーベル経済学賞受賞者のベッカーと、連邦裁判所の判事ポズナー両氏によって運営されているブログのエントリーから興味深い題材を収録したものであり、前著『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』に次ぐ二冊目の日版の登場である。 今回も高齢にもかかわらず両者の現実の経済をみる眼はするどい。大学ランキング、治安の民営化、水の効率的利用、臓器市場の問題、男女の産み分け、中国におけるグーグル問題、リーマンショック以降のアメリカの経済政策や欧州の財政危機などをテンポよく分析していく手腕は感心する。日の経済政策についても冒頭での日語版序文でとりあげられていて、そこではやはり日の経済政策の稚拙さが焦点になっていると思う。規制緩和や税制、社会保障の見直しも冷静に指摘されている。 ところでベッカーは脂肪税(飽和脂肪酸を多く含む品への課税)に対して反論

    『ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学』、脂肪税とエロマンガ規制 - Economics Lovers Live
  • 経済を無理なく理解するにはどうしたら?(経済書ブックガイド2013秋)

    経済問題を最小の時間で、でも基礎体力をつけながら学んでいくにはどうしたらいいのか? 1)いいテキスト 2)いい教師(授業、講演などでの出会い)、3)適切な時間配分 4)無理しない これらのバランスが必要でしょう。ここでは主に1)の「いいテキスト」を紹介していきます。上から下にいくほどレベルアップ。 なんといっても小学生でも読める(でも大人が読んでも面白い)以下の二冊がやはり最も簡単な経済書の地位を依然としてキープしているでしょう。 新装版 レモンをお金にかえる法 作者: ルイズ・アームストロング,ビル・バッソ,佐和隆光出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/05/21メディア: 単行購入: 3人 クリック: 83回この商品を含むブログ (28件) を見る新装版 続・レモンをお金にかえる法 作者: ルイズ・アームストロング,ビル・バッソ,佐和隆光出版社/メーカー: 河出書房新社

    経済を無理なく理解するにはどうしたら?(経済書ブックガイド2013秋)
  • 2013-01-01 - Economics Lovers Live Z 2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 発表!

    明けましておめでとうございます。今年もこのブログEconomics Lovers Liveを御贔屓のほどよろしくお願いいたします。日がデフレを完全に脱却してリフレーション過程に入るかどうか、そのまさに瀬戸際といいますか、希望と不安の感情といいますか、いままでにない新年を迎えています。このブログではなるべくその時々の経済問題を現実的な視点を意識してとりあげていきたいと思います。 さて新年最初のエントリーは、Twitterで呼びかけさせていただきました、「#2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 」の結果を発表させていただきます。有効投票者数は100人以上の方になりました。またRT数は数限りなしです。集計の仕方は順位をつけていただいたものに、1位に3点、2位に2点、1位に1点とし、同位になった場合は半数ずつを、またご希望により順位外のものにもそれぞれ0.5点をつけて集計しました。また

    2013-01-01 - Economics Lovers Live Z 2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 発表!
  • 経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト

    お正月休み用のブックガイドと動画をご紹介 経済学を専門にやっている学生でもなければ、順を追ってミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学をそれぞれ学ぶよりも僕は経済思想史を勧めたいです。なぜならたとえ経済学が身につかなくても(笑)、歴史、思想、政治、法律、文学、芸術、人間の伝記的知識、語学に数学など、教養を幅広く得ることができるからです。もちろん歴史的に物事をみれると、批判的精神もつきますよ。 以下では経済思想史だけではないんですが、最近出たもので、いま学生などにすすめているを中心に以下にご紹介。 1 猪木武徳『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み』 まず経済学を幅広い思想と歴史的文脈の中で再検討したこの新書は読みやすく問題意識を身に着けるのでいいと思います。僕もいままさに読んでますが、猪木先生の著作はすべて読んでほしいものばかりですね。 経済学に何ができるか - 文明社会の制度

    経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト
  • いまの日本に徴兵制を実施したらどうなるか(簡単な経済学的視点から)

    Twitterで徴兵制導入すべし、という意味不明の発言を最近よくみるようになった。基的に、ただの若者には根性や防衛意識が足りないなど、無責任な発言によるものが大半だ。ただし知的な関心もある。徴兵制をいまの日に導入すればどうなるだろうか。それをポール・ポーストの『戦争経済学』を利用して簡単にみておく。 最初に結論でいうと、いまの日に徴兵制をひくと、1)防衛力が低下する可能性、2)若い世代の人的資の蓄積が歪む(ムダが発生)する可能性があるということだ。 ポーストのは、主に徴兵制からAVF(総志願軍)への転換という先進国の主流の流れを分析したもので、日の一部の無責任な論説のように徴兵制への転換とは異なる。なのでこのポーストの視点を逆転させる必要がある。 まず総志願軍の場合は、他の公務員の賃金やまた民間の賃金との競合を考えなければいけない。それに対して徴兵制は基的にその問題はそれほ

    いまの日本に徴兵制を実施したらどうなるか(簡単な経済学的視点から)
  • 大震災を増税の口実にするのか?ー谷垣自民総裁臨時増税協議ー

    Twitterで書いたものを掲載。 谷垣自民総裁が「臨時」増税を民主党と協議しているという。 【東日大震災】臨時増税を協議へ、自民の谷垣総裁が明らかに - MSN産経ニュース http://htn.to/JKsYGt 財務省とその手先(谷垣、藤井、与謝野)は当にひどいなあ。「臨時」増税とは。まさに国民的な悲惨事にまぎれての増税路線の採用。「臨時」とはいいながら後には「財源が足りない」などと詭弁をろうして恒久化するにきまってるよ。しかしひどいペテンだ。 民主党が「予算案を通して補正くませてほしい」というのは政治的な思惑からも提起するのはわかってたが、谷垣自民がそれをすんなりのんだのがどうも胡散臭いとにらんでたが、こういう背景があるわけだ。まさに財務省増税派の走狗だね。「臨時」増税とはいやはや、おそれいる厚顔無恥。 復興のための資金調達は、数年間もかかるだろうその時間と規模からも、長期国債

    大震災を増税の口実にするのか?ー谷垣自民総裁臨時増税協議ー
  • Economics Lovers Live

    www.youtube.com www.youtube.com 久しぶりの動画配信です。自分で整理するためにも配信してますw www.youtube.com 松崎蔵之助『経済大観』が1902年で日では初めての格的なケネー研究だったと書いた。ついでなのでそれ以前の国際的なケネー研究については、ヒッグス『重農学派』(原書刊行1897年)とその参考文献がいい。重農学派の研究は、重農学派への当時の批判者、アダム・スミス、マルクス、そして経済学史的にはジェボンズ、ロッシャー、オンケンらが名前を思い出すことができるが、ヒッグスのではさらにさまざまな著作が挙げられている。国際的なケネー研究に日がどのように位置にいたのかを知る上でもいい。 また個人的には、住谷悦治を訳したものに手をいれて1957年に訳書をだした住谷一彦先生の訳者あとがきが興味深い。父親の宿題を終わらせただけでなく、他方で人が

    Economics Lovers Live
  • 1