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ブックマーク / tanakanews.com (32)

  • ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧

    2022年3月26日 田中 宇 ロシアウクライナ侵攻に関して米国が「ロシア軍はウクライナでの戦争で膨大な被害を受けて敗退寸前だ」「ウクライナの占領に失敗して露軍が撤退し、戦争に失敗したプーチンの人気が大幅に低下して政権崩壊し、ロシアが大混乱に陥って冷戦直後のような弱い状態に戻る」「プーチンが辞めた後のロシア政府は、外貨を得るために大幅譲歩し、冷戦直後のような米英の傀儡国に戻る。ロシアは再び安値で石油ガスや鉱物穀物を米欧に輸出するようになる」「だから米欧は、ロシアからの石油ガス鉱物の全面輸入停止など、長くやったら米欧自身が自滅するほどの厳しい対露経済制裁をやっても、短期間でロシアが潰れるので大丈夫だ。欧州は超厳しい対露制裁をやるべきだ」と言い出している。 (Watch Live: Stoltenberg Says Russia To "Pay Severe Costs For Years

    nabinno
    nabinno 2022/03/27
    G7・BRICSの力関係が変わりつつある時期、渦中に身を委ねている者はどちらの情報の正しさも判断はできない。冷酷になるなら、底をついたように見えるルーブルに手をつけるくらい。
  • ウクライナの対露作戦としてのマレー機撃墜

    2014年7月28日 田中 宇 この記事は「マレーシア機撃墜の情報戦でロシアに負ける米国」の続きです。 前回の記事に書いたように、ウクライナ東部でマレーシア航空機MH17を撃墜した「犯人」は、ウクライナ軍である可能性が最も高い。事件発生後、米欧日などのマスコミで、いっせいに「ロシア犯人説」が流布された。しかし米政府は7月22日、諜報担当官が匿名の記者懇談で「ロシアがMH17機の撃墜に何らかの直接関与をしていたと考えられる根拠がない」「ロシアウクライナ東部の親露勢力にミサイルを渡して撃墜させたと考える根拠がない」と述べ、それまでの「ロシア犯人説」の主張を引っ込めた。 (US: No link to Russian gov't in plane downing) 米政府は「ロシアの責任は、撃墜への直接関与でなく(親露勢力を軍事支援するなど)今回の撃墜につながる状況を(間接的に)作ったことだ」

  • 集団的自衛権と米国の濡れ衣戦争

    2014年7月3日 田中 宇 7月2日、日政府が、現行憲法に集団的自衛権が存在していると解釈することを閣議決定した。世界的に見ると、ほとんどの国が、同盟国や親密国との間で集団的自衛権を持っている。今回の私の疑問は、日政府がこれまで政府の憲法解釈で「持っていない」ことにしていた集団的自衛権を、なぜ今の時期に「持っていること」に変更するのかについてだ。 戦後の日は、米国に対して「弱いふり」を続け、それによって米国に守ってもらわねばならないという対米従属の状態を続けるのが国家戦略だった。米国は1970年代に在日米軍を撤退しようとしたが、日が「自衛隊はまだ弱い」「憲法で戦争できないことになっている」と言って引き留め続けた。対米従属は、米国が日の「お上」であり、日の官僚機構がその下僕として(お上の意志の解釈権を保持して)国民とお上の間に挟まって行政権力を保持し、国会を無力化して官僚隠然独

  • ウクライナ危機は日英イスラエルの転機(2)

    2014年3月25日 田中 宇 この記事は「ウクライナ危機は日英イスラエルの転機」(田中宇プラス)の続きです。 ロシアのクリミア併合を米国が阻止できないことが露呈した直後の3月17日、イスラエルのヤアロン国防相が、大学での講演で「イラン、中国ロシアウクライナなどの問題で、米国は弱さを見せてしまっている。イスラエルは米国に頼れない以上、独力でイランと対決せねばならない」と発言した。米政界は「米国はイスラエルのためにイランやパレスチナなどの問題に全力で取り組んできたのに侮辱された」「ネタニヤフ首相もヤアロンの発言を半ば黙認しており、ひどい」と発言を非難している。 (Israeli Defense Minister: U.S. Is Projecting `Weakness') (U.S. says disappointed at no apology from Israeli defens

  • 北朝鮮・張成沢の処刑をめぐる考察

    2013年12月18日 田中 宇 12月12日、北朝鮮のナンバー2で、若い独裁者金正恩の摂政役をつとめていた張成沢が、特別軍事法廷で死刑を言い渡され、即日処刑された。張は、2011年12月に死去した金正恩の父親、金正日の姉・金敬姫(慶姫)の夫で、金正日政権の末期から、とともに、外資導入や軽工業振興など、経済再建政策の最高責任者をしていた。金正日は08年に病気で倒れた後、後継者として息子たちの中から金正恩を選び、その際に張成沢を正恩の摂政役として置くことを決めた。張は国防委員会の副委員長など3つの要職を兼務し、職位的にもナンバー2だった。 (What does Jang Song-thaek's ousting mean for North Korea? - Q&A) 1994年(金日成の死)から2011年まで権力の座にいた金正日は、前半期に中国を「修正主義」と呼んで嫌っていたが、01年ご

  • 飢餓が広がる米国

    2013年11月11日 田中 宇 11月1日から、米政府の貧困救済策(料配給券制度)であるフードスタンプ(補助栄養支援事業、SNAP)の予算を削減した。削減は、フードスタンプの予算総額764億ドルのうち7%弱にあたる50億ドルで、比率として大したことない。4人世帯で1カ月600ドルの配給券をもらっていた家族は、ひと月36ドルの減額でしかない。しかし米国では近年、実質的な失業者の急増が続き、フードスタンプの利用者が、リーマン危機直後の08年の3千万人から、今は5千万人弱まで増えた。フードスタンプに頼る人が増える中、減額で足りなくなった料をほかで補おうとする人が、民間の貧困救済所(糧配給所)に早朝から長蛇の列をなす事態になっている。 (Food banks brace for wave of hungry masses as federal food stamp cuts kick in

  • 無実のシリアを空爆する

    2013年8月28日 田中 宇 米国が英仏の賛同を得て、早ければ8月29日にシリアを空爆するという。首都ダマスカスの近郊で、8月21日に化学兵器によって市民が攻撃され多数の死者が出たとされる件について、米政府は「シリア政府軍の仕業に違いない」と断定し、国際的に違法な化学兵器の使用に対して制裁する目的で、シリア沖の地中海にいる米軍艦や、英軍の潜水艦から、トマホークなどのミサイルを発射して、シリア軍の基地などを破壊する予定と報じられている。攻撃対象が多くなる場合、B2ステルスなど、ミサイルより多くの爆弾を落とせる戦闘機を使う予定だという。 (Strike on Syria `As Early as Thursday') 攻撃の時期については、9月1日以降との説もある。時期の早晩があるかもしれないが、米政府の高官がマスコミに攻撃を明言しており、言葉だけでなく、いずれ攻撃が行われる可能性が高い。攻

  • さらに弱くなる日本

    2013年7月20日 田中 宇 ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に、日の財政について興味深い記事が載った。日政府は、7月14日の閣議で、経済テコ入れを優先するため財政赤字(公的債務)の総額を減らす努力を2020年まで行わず、21年から赤字削減に努力することを決めた。しかし日政府は、累積財政赤字に関する長期予測を2023年の分までしか持っていない。2024年以降の日の財政赤字がどうなるか、日政府はまったく予測を立てていない。同記事はそう指摘している。 (Firing Blind in Tokyo) 日政府の累積財政赤字はGDP比220%で、先進諸国の中で最悪だ。それなのに政府は、景気回復を優先するとの口実で、2020年までは財政赤字の削減努力をせず野放図に赤字増を続け、21年から努力を開始するものの、24年以降の分については赤字予測すら立てていないで不明確なままだ。財政赤

  • 全人類の個人情報をネットで把握する米軍諜報部

    2013年6月17日 田中 宇 6月7日、中国の習近平主席との彭麗媛は、8日に米国を訪問してオバマ大統領と首脳会談する前日にメキシコを訪問した。その時、彭麗媛がアップルの白い「アイフォン5」でスナップ写真を撮っている光景が、香港などのマスコミで報じられ、話題になった。 (美監控蘋果數據 港媒:彭麗媛該換掉iPhone了) 折しも、米国防総省の信号諜報機関であるNSA(国家安全保障局)が、アップルを含む米国の大手ネット企業9社の中央サーバーに勝手に入り込み、スマートフォンなどのユーザーが9社のサーバーに蓄積した画像やメールなどの情報の中から、ほしいものをほしいだけ持っていける仕組みができていることが、NSAの要員によって暴露されている。 (U.S. Internet Spying Draws Anger, and Envy) アイフォンをふつうに使うと、撮影した写真の画像ファイルは、アップ

  • 米中首脳会談と日本

    2013年6月12日 田中 宇 6月3日、米国のシンクタンクである大西洋評議会(アトランティック・カウンシル)の2人の研究員が、FT紙に「日は竹島の領有権を放棄して韓国領と認めるべきだ。日中国と対抗する気なら、韓国との協調を強める必要がある。米国も日韓の協調を望んでいる。日韓の敵対を解消した安倍首相は、ノーベル平和賞の最有力候補になれる」とする論文を出した。題して「安倍晋三がノーベル平和賞をとれる方法」だ。 (How Shinzo Abe could win the Nobel Peace Prize) 論文著者の2人が属する大西洋評議会は、国防長官に就任するまでチャック・ヘーゲル元上院議員が会長をつとめていた。その前には、オバマの1期目の安全保障顧問(国家安全保障問題担当大統領補佐官)になったジョーンズ・ジェームズが会長だった。2期目の同顧問に内定したスーザン・ライスも同評議会のメ

  • 中国の影響力拡大

    2013年5月27日 田中 宇 4月15日夜、インドと中国が領有権を争うラダック地方東部の中印国境地帯で、30人の中国軍兵士が谷に沿ってインド側に19キロ侵入し、テントを設営して滞在し始めた。ラダック地方では以前から、中国軍兵士が夜間にインド側に侵入してテントを張り、近くの岩に「ここは中国領だ」と大書したり、ゴミを散らかして滞在の痕跡を残したりしつつ、翌朝に中国側に戻る示威行為を繰り返してきた。インド側は当初、今回もそのような示威行為だろうと考えていた。 (India, China and yet another border dispute) しかし前代未聞なことに、中国兵士は何日経ってもインド領内にテントを張ったまま滞在し、インド軍が警告を発しても、中国側に戻ろうとしなかった。印中は第二次大戦後、ラダック周辺で何度も戦闘を繰り返しており、今回の中国軍侵入も、中印戦争に発展しかねなかった

  • 世界を変える米財政危機(2)

    2013年3月9日 田中 宇 この記事は「世界を変える米財政危機」の続きです。 3月5日、米国の首都ワシントンDCで、米政界で最大級の政治圧力を持つロビー団体、米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次総会が開かれた。イスラエル右派の組織AIPACは、米議会のすべての議員のイスラエルや中東に関する投票行動を監視し、イスラエルに批判的な議員を次の選挙で確実に落選させ、米政界に巨大な影響力を持っている。AIPACの強さゆえ、米政界はイスラエルに牛耳られている。AIPACは強すぎる。それなのに、今年の年次総会で検討された主題の一つは「どうやって米政界への影響力をもっと強めるか」だった。 (Pro-Israeli lobby losing grip on Washington?) AIPACは米国の防衛産業と組み、米政府が、イラク戦争やテロ戦争に代表される中東への軍事関与を拡大し続けるべく、圧

  • 米歳出一律削減の危険

    2013年2月28日 田中 宇 米国は3月1日、連邦政府の全分野における一律的な歳出削減を開始する。米政府の財政赤字は2001年の911以後、テロ戦争を口実にしたブッシュ政権の財政の大盤振る舞いによって増え続け、08年のリーマン危機後に公的資金で景気テコ入れ策をやったため、赤字増に拍車がかかった。当時、オバマ大統領と米議会は赤字削減の必要性で合意したものの、どの分野の歳出を削るかで対立を解消できないまま交渉期限の11年夏がすぎ、11年8月にS&Pが米国債を格下げした。 (米財政赤字の何が問題か) 米2大政党は財政再建議論を仕切り直すことにしたが、民主党は防衛費削減に積極的で社会保障費削減に反対、共和党は逆に社会保障費削減に積極的で防衛費削減に反対で、2大政党間の対立が解けないまま議論が平行線をたどりそうだった。そこで両党は、12年末(昨年末)までに議論に結論を出せない場合、罰則として13年

  • 悪者にされるイスラエル

  • 円をドルと無理心中させる

    2012年12月3日 田中 宇 12月3日、三菱東京UFJ銀行の平野頭取が日国債の破綻を懸念していると、FT紙が報じた。40兆円の日国債を保有する三菱は、国債が破綻に向かうと大惨事になるので保有を減らしたいが、市場への影響を考えると大量売却できず、長期債を短期債に変えてリスクを減らすぐらいしか対応策がないという。三菱以外の日の銀行や生保も多額の日国債を保有している。国債が破綻に向かうと、日人の預金や保険は戻ってこない金になる。 (Japan bank chief warns on bond exposure) 日国債の9割は、日国内の金融機関が保有している。金融機関は政府の厳しい監督下にあり、国債を自由に売却できない。米国債の場合、半分を外国人が保有しているので、国債に対する信用が落ちると、外国勢が国債を売り放って相場が下がり(金利が上がり)破綻に近づく。だが日国債は、ある

  • 影の銀行システムの行方

    2010年7月19日 田中 宇 2007年夏以来の米国発の国際金融危機の元凶の一つは「影の銀行システム」(shadow banking system)である。経済の金融部門の全体である銀行システム(金融システム)のうち、人々や企業から預金を集めて人々や企業に融資する既存の銀行業務を中心とする、米連銀など当局の監督を受ける部分が、伝統的な銀行システムであり、それ以外の部分が影の銀行システムである。影のシステムは投資銀行など銀行界によって作られたが、銀行は帳簿外に勘定を作って当局の監督を逃れていた。 08年秋のリーマンショックの直後に報じられたところでは、米国では「伝統」と「影」の銀行システムがそれぞれ11兆ドル前後で拮抗していた。影のシステムは1985年の金融自由化以後に拡大し、特に90年代末以後、不動産担保ローンを債券化して投資家に売るCDO(債務担保証券)などの発行が急増した。影の銀行シ

  • 世界の運命を握る「影の銀行システム」

    2012年11月22日 田中 宇 11月18日、G20傘下の財務相会議である「金融安定委員会」(FSB)が、「影の銀行システム」の世界的な規模について、08年のリーマンショック後に61兆ドルだったものが、最近では67兆ドルまで増えているとする報告書を発表した。この額は、世界の金融総資産の約半分に当たる。 (Shadow Banking Grows to $67 Trillion Industry, Regulators Say) 影の銀行システムは、銀行の勘定外で行われるため金融当局の監督や規制を受けない取引と資産の総称だ。不動産担保債券、各種デリバティブ、MMF、CDS(債券破綻保険)などが含まれ「債券金融システム」とも呼べる。預金と融資で成り立つ従来の「表の銀行システム」の外側にあるので「影の銀行システム」と呼ばれる。表のシステムが、当局によって厳しく実態把握され管理されているのと対照

  • 中国は日本と戦争する気かも

    2012年11月4日 田中 宇 10月30日、中国政府は、尖閣諸島に派遣した海洋監視船が、尖閣周辺を航行する日の漁船を「領海内」から追い払ったと発表した。「釣魚台(尖閣)は中国の領土だから、日の漁船が島の周辺海域に来るのは不法侵入だ」というのが中国の主張だ。中国当局の監視船は、尖閣沖にいた日の海保船にも接近し、領海侵犯だから出ていけと警告し、日の海保船も対抗して中国船に警告し返したという。日の海保は、中国船が日の漁船を追い払った事実はないと否定したが、米欧マスコミはこの事件を事実的に報じ、尖閣に関する中国政府の態度が強硬になったと指摘している。 (China raises stakes over disputed islands) 中国側が日の漁船を追い払った(もしくは実際に追い払っていないが追い払う姿勢を宣言した)ことは、日側が尖閣の領海に入ってくる中国の漁船を追い払って

  • イラクの石油が世界を変える

  • 尖閣問題と日中米の利害

    2012年9月27日 田中 宇 日が9月11日に尖閣諸島の土地を買い上げて国有化する方針を決めて以来、中国では、日を非難するデモが各地で行われた。デモでは、毛沢東元主席の肖像画が掲げられることが多かった。「抗日」という文字も目立った。戦前に日中国を半植民地化していた時代、毛沢東は、共産党軍を率いて抗日戦争を続け、日戦争に負けた後、ライバルの国民党軍を中国大陸から台湾に追い出し、中華人民共和国を建国した。日を追い出して中国を植民地化から救ったというのが、中国共産党中国人民に対する政治正統性で、毛沢東や「抗日」の文字はその象徴だ。 (Chairman Mao rears his head in China's anti-Japan protests) 高度経済成長で貧富格差が増して貧困層の共産党に対する信頼が揺らぐ一方、共産党が胡錦涛から習近平への10年に一度の権力の世代交代を