1. はじめに2014年5月13日、EU司法裁判所がグーグルに対して、氏名の検索に続いて表示される検索結果からリンクを削除することを命ずる判決を下し、はじめて「忘れられる権利」を認めたものとして注目を集めた(グーグルの検索サービスと忘れられる権利~最新のEU司法裁判所判決(スペインの事例)を題材に~)。同判決ののち、欧州委員会がガイドラインを策定したほか、グーグルが、同判決を受けて立ち上げた諮問会議の報告書を公表している。欧州委員会のガイドライン及びグーグル諮問会議の報告書はいずれも、EU司法裁判所判決に関わる論点を網羅的に検討する内容となっている。「忘れられる権利」に基づく検索結果の削除の地理的範囲の問題(※1)は、こうした複数の論点のうちの一つであるが、当該問題について欧州委員会とグーグル諮問会議は異なる見解を示しているため、本レポートでは、検索結果の削除の地理的範囲に焦点を絞って、議