19世紀は星空を愛する天文ファンにとって素晴らしい時代だった。1811年から1882年にかけて、8つの大彗星が地球を訪問し、天文学者のみならず一般の人々を楽しませた。 とりわけドラマチックだったのが、1861年に地球のすぐそばを通過し、江戸時代の日本でも観測が記録された「テバット彗星」だ。 約3か月間にわたって肉眼で観察できるほど輝き続け、その間、地球は2日間にわたって彗星の尾の中を通過している。 彗星のガスと塵の中からそれを見上げた人たちは、放射される彗星物質の流れをはっきりと目にした。それは昼間だというのに太陽の光を遮るほどだったという。