タグ

ブックマーク / newsweekjapan.jp (15)

  • ヨーロッパに忍び寄るネオ排外主義

    ヨーロッパに新たな分断が生まれている。かつての鉄のカーテンとは違って、今回の「壁」は異質なものに対する強い拒否反応。西ヨーロッパではイスラム教徒、東ヨーロッパではユダヤ人とロマ人、同性愛者が標的になっている。 オランダでは3月3日の地方選で、イスラム教徒排斥を唱える極右の自由党が主要都市で躍進。続いて4月11日にはハンガリーで国会議員選挙の第1回投票が行われ、「ユダヤ資」が「世界をむさぼりおうとしている」と攻撃するフィデス・ハンガリー市民連盟が、過半数の票を獲得した。 フィデスよりもあからさまに反ユダヤ主義を掲げる極右政党ヨッビクも、今回初めて26議席を獲得し、従来の政権与党である社会党と2議席差に迫った。初の国会進出を果たしたヨッビクの幹部たちは、ネオナチ風の制服を着て登院したいと考えている。 最近の政治学者はこうした勢力を「反ユダヤ主義」ではなく「急進的ポピュリズム」と表現したがる

    nagaichi
    nagaichi 2010/05/27
    他山の石としたいところであるが、日本もあまり他人事ではない気がするこのごろ。
  • 【哲学】人類をリセットするクラウド革命

    科学が私たちの理解を変える方法は、ごく大ざっぱに分けて2つある。1つは外向き、つまり外の世界についての認識を変えるもの。もう1つは内向き、つまり私たち人間についての理解を変える方法だ。過去の3つの科学革命は、その両方に大きな影響を与え、外的世界に対する私たちの理解を変えることで「人間とは何か」をめぐる私たちの内的認識も変えた。 コペルニクス以後、それまでの地球中心の宇宙観に太陽中心の宇宙観が取って代わり、人間を宇宙の中心から追い出した。ダーウィンは、すべての生物種が自然淘汰によって共通の祖先から進化してきたことを示し、人類を動物界の中心から追い出した。そしてフロイト以降、私たちは精神も無意識の産物であり、抑圧という防衛機制に影響されることを理解するようになった。 つまり、私たちは宇宙の中心に位置する不動の存在ではなく(コペルニクス革命)、他の動物たちと切り離された別個の存在でもなく(ダーウ

  • アメリカはもう台湾を守れない

    米政府は台湾への武器輸出を表明したが、台湾に戦略的価値はないし今のアメリカには小さな民主国家を死守する余裕はない バラク・オバマ大統領はこの一週間、さまざまな相手を怒らせてきた。まず、共和党議員を中身のないただの目立ちたがり屋だと糾弾。EU(欧州連合)に対しては、5月に予定されているEUサミットに出席しない意向を表明した。 さらに、企業に温室効果ガス排出枠を課すキャップ・アンド・トレード方式の新年度予算への計上を見送る方針を決定。環境保護団体に対して、もはやこの方式に期待していないというメッセージを送ったも同然だ。 だが、なかでも最も大きな意味をもつのは、台湾に64億ドル相当の武器を売却するという決断だ。 予想通り、中国は激しく反発した。中国外務省は「多大な内政干渉の一環」であるとし、「強烈な憤慨」という表現で怒りを露わにした。 オバマ政権1年目の中国への対応はブレまくっていた。そのため率

  • 共産党の意に反して「報道の自由」が加速

    これまで中国では、共産党が意向にそぐわない報道をした報道機関を発禁処分にしてきた。だが昨年夏以降、当局の人権侵害批判や、政府発表と異なるスクープ記事を掲載するメディアが相次いでいる。 英字紙チャイナ・デイリーは7月、メラミン混入ミルク事件で被害者救済活動をした民間組織に対し当局が不当に閉鎖を命じたと報道。8月には他のメディアが報じないなか、四川大地震で死んだ子供の数を特定しようとして起訴された人権活動家の記事を掲載した。 11月には新華社系の週刊誌「瞭望新聞週刊」が、陳情住民を人権無視で収容するヤミ監獄を暴く記事を、12月には人民日報系英字紙グローバル・タイムスと週刊紙の南方週末が、以前は当局の発表をそのまま掲載するだけだった共産党指導部人事の予測記事を載せた。 市場経済の広がりに伴い、中国の新聞と雑誌の数は計1万2000に増加。中国政府は昨年4月、新聞社や出版社に経営合理化と統廃合を迫る

  • イギリス人処刑を強行した中国の論理

    法と秩序 シャイフの死刑は犯罪に対する中国の強い姿勢を示すものだ(写真は、盗みで捕まり通りで手錠をかけられた男。08年、四川省青川県) Nir Elias-Reuters 多くの人が忘れてしまっているが、中国政府の独裁的なリーダーたちは、国の統治を国民から任されている。中国の安全と力と繁栄を保っていれば、国民も反発を控え、政府による抑圧にも耐えるだろう。しかしそうできなければ、今のイランのような混乱に陥る。 そう考えれば、09年12月29日に中国で執行されたイギリス人の死刑は、報道で指摘されるような外交上の失態ではなく、国内政治における英断だったことがわかる。死刑になったのは、パキスタン系イギリス人のアクマル・シャイフ。07年に3.6キロ以上のヘロインを中国へ持ち込んだ罪に問われ、死刑判決を受けた。 中国の司法当局がとりわけ脆弱に見える事件が頻発していただけに、この一件は彼らが多少なりとも

  • ソマリアの惨状を世界が見捨てた訳

    1992年当時のソマリアは最悪の状況だった。内戦で無政府状態が続き、武装集団が国連の援助物資を略奪。全土で180万人が飢えに苦しんでいた。 そこへ登場するのが、米軍主導の多国籍軍だ。インド洋には援助物資を積んだ米軍の輸送艦隊が現れ、空からは米軍の攻撃ヘリが物資を運ぶトラックを援護。武装勢力の動きを監視するために米軍の偵察機が首都モガディシオ上空を日夜旋回した。 それから17年。モガディシオは今も衛生状態の悪い難民キャンプに囲まれている。飢餓状態にある人は2倍以上に膨れ上がった。だがもはや、米軍も国連も救援に駆け付けてはくれない。 ソマリアの危機は現在、最悪のレベルにまで深刻化している。暫定政府の軍とイスラム過激派の戦闘が各地で起き、この半年だけで140万人が国内避難民となった。 それなのに、なぜ世界はソマリアに目を向けないのだろう。その答えは、国連と米軍の大規模な救援活動が頓挫した経緯にあ

  • 『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』はキリスト教徒マイケル・ムーアの資本主義批判

    9月11日、トロント映画祭でマイケル・ムーアの新作『Capitalism:A Love Story』(邦題『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』、日では今年12月から限定公開、10年1月から全国拡大公開)を観た。映画はこんなロックンロールで始まる。 共産主義世界は崩壊したけど 資主義者には失望させられるだけ 金こそがその理由だ まったくルイルイ歌うしかないぜ なぜアメリカには公的医療保険がないんだ? ブッシュの親父やゴルヴァチョフの後 ベルリンの壁は倒れたけど、何かが失われた テレビのニュースを見ると映画みたいだ 俺はルイルイ歌うしかないぜ Louie Louie by Iggy Pop これは、社会主義の崩壊と共に失われた「何か」を描いた映画である。 歌うはパンクの神様イギー・ポップ。イギーはデトロイト・エリアで生まれたマイケル・ムーアの同郷人。イギーはフォードの城下町デアボーン、ムーア

    『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』はキリスト教徒マイケル・ムーアの資本主義批判
  • 「民主308議席」の民意とは?

    民意が2大政党を行き来するアメリカでは、大きな政権交代の波には必ず「民意の核」が見えるものです。例えば、昨年のオバマの「チェンジ」を支持した民意は、ブッシュの一国主義的な軍事戦略の行き詰まり、そして金融グローバリズムの「虚業」にバブルを生ませ破綻させた経済政策、この2つへの「ノー」でした。その核にある感情は「アメリカはもっと世界から尊敬されるはずだ」という思いと「自分たちの生活不安を解消してほしい」という思いの交錯したものでした。この「核」が巨大な波を起こし、史上初の黒人大統領候補を圧勝させたのです。 今回の「民主308議席」を動かしたのも似たような「核」です。そして今回の場合は、「日はもっと善なる国家イメージを周囲に与える中で紛争に巻き込まれないという安全を指向すべきだ」という軍事外交のニュアンスもありますが、それ以上に「自分たちの生活の先行き不安を解消してほしい」という思い、いや一言

  • イスラエル排斥論の大波紋

    パレスチナ問題の解決には国際社会がイスラエルをボイコットするしかない──有力イスラエル人学者がそう表明したため波紋が広がっている 8月20日、ロサンゼルス・タイムズ紙は「イスラエルをボイコットせよ」と題した勇気ある論説を掲載した。 テーマは、ヨルダン川西岸とガザ地区の占領を続けるイスラエルに対する「BDS(ボイコット、資の引き揚げ、経済制裁)キャンペーン」について。執筆者のイスラエル人政治学者ネーブ・ゴードンは、パレスチナ問題の解決策としてボイコット運動をやむなく支持すると表明した。 ベングリオン大学(イスラエル)政治科学学部で学部長を務めるゴードンは、多くの著書があり、大学から終身在職を保障されている研究者。敬虔なユダヤ主義者であり、イスラエル国防軍のエリート部門である空挺部隊での兵役中に負傷したこともある。 論説の中でゴードンは、イスラエルは歴史的な転換点に立っており、最悪の事態を回

  • アメリカの医療保険制度は最高だ!

    病気になったら? カリフォルニア州ベニスで健康診断を受ける無保険のドナジ・クルスちゃん(3歳、09年6月) Lucy Nicholson-Reuters 申し訳ないが、私はアメリカの医療保険制度は現状のままでいいと思っている。私は医療保険に加入しているし、4700万人の無保険者のことなど知ったことじゃない。誰かがバラク・オバマ大統領と議会を止めるべきだ。医療改革法案を葬れ! 私は今のままのほうがトクなのだ。 「医療の公営化」に反対する手紙を大統領に出し、「私のメディケア(高齢者医療保険制度)に手を出すな」と書いた女性に私は賛成だ。メディケアが公的医療制度であることはともかく、そうこなくては! 私が連邦議員たちと同じ高水準の保障を得ていい道理などあるだろうか。法案に反対していた民主党の保守派議員などは「ブルー・ドッグ(青い犬)」と言われるだけあって顔色が悪く、たくさんの医療サービスを必要とす

    nagaichi
    nagaichi 2009/08/05
    すばらしい褒め殺しだ。
  • イランとホンジュラスに学ぶ国際関係論の基礎

    権力奪取に抗議 クーデターで追放されたホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領が帰国しようとした空港で、セラヤの支持者が警察と衝突(7月5日) Edgard Garrido-Reuters これはロケットサイエンスでも何でもなく入門レベルの国際関係論だが、誰も指摘しないのでここで書こう。 ホンジュラスとイランで今起こっていることは驚くほど共通点が多く、一考の価値がある。 どちらの国でも、既存体制内の保守勢力が実質的なクーデターを起こした。いずれの場合も、首謀者たちは法的手段と超法規的手段を駆使して自らの権力基盤を固めた。そうした行動は、テヘランでもテグシガルパ(ホンジュラスの首都)でも、体制から追われた側を支持する国民の抗議デモの引き金になった。 外国からの干渉を被害妄想的なほど嫌うのも共通だ。すると、対立する2国が軍備拡張を競い出すと際限がなくなるという「安全保障のジレンマ」の国内政治版とで

  • 日本が伝えない「バカ大統領」自殺の真実

    今週のコラムニスト:コン・ヨンソク 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が自殺して1カ月。日ではすでに過去の話だが、韓国では今もその余波が収まらない。そこには日で伝えられない、国民のなかに流れる特別な感情がある。 たしかに日で盧武鉉のイメージは悪かった。しかし隣国の前大統領が非業の死を遂げたのだ。もう少しニュースになってもいいと思うのだが、自殺直後の日のメディアは淡々と事実関係を述べるに過ぎなかった。 そして案の定、韓国の歴代大統領の不正疑惑と同一線上で報じられた。だが、いくら不正疑惑とはいえ、彼が命を賭けて闘った軍事独裁者の全斗煥(チョン・ドゥファン)や、その右腕の盧泰愚(ノ・テウ)と同じように扱うなんて......。もう少し深い洞察がほしかった。専門家の言う「左右の対立」というお決まりの説明を鵜呑みにするのではなくて。 韓国社会の真実がこうも歪められては、日韓新時代も夢のまた夢

    日本が伝えない「バカ大統領」自殺の真実
  • 実はIT先進国のイラン、規制も実効なし

    いくら宗教指導者が強い影響力を持つイランとはいえ、中世のやり方では21世紀のテクノロジーは取り締まれない。欧米の複数の公安当局関係者によると、イラン政府は反大統領派の勢いを止めようと、フェースブックやミニブログのトゥイッター、それに携帯メールを遮断しようと試みているが、うまくいっていない。あまりに普及が進んでいて対策が追い付かないためだ。 イラン当局の取り締まりは「下手だ」と米諜報機関の元高官は言う。さまざまな手を試みてはいるものの「反大統領派の連絡を断つには至っていない」と言う。 政府が複数の通信網の遮断に成功したときでさえ、効果は限定的だった。「みんな携帯電話を持っている」と言うのは、米国防総省の元情報分析官マシュー・バートンだ。通話やメール送信ができなくてもカメラで写真が撮れる。 「ネットワークト・カルチャー」という名のブログによれば、公安当局はトゥイッターを利用して偽の情報を流した

  • スリランカ内戦終結の不穏な未来

    さらに別の疑問もある。多くの人が予想するようにタミル人過激派の残党が「ゲリラ活動」に回帰した場合、国外の亡命タミル人勢力はどの程度この闘争を支援し続けるのか。 テロ対策関連のブログサイト「アブ・ムカワマ」では寄稿者カルロスがこの問題に触れているが、亡命タミル人のLTTEへの支援は強制されたものだとことさらに強調している。 ロンドン在住のタミル人活動家ニルマラ・ラジャシンガムは当ブログ「PASSPORT」でこう書いている。 別の言い方をすれば、例えスリランカ政府がタミル人居住地域の生活環境を向上させて、分離独立派を政治プロセスに取り込んだとしても、国外の亡命タミル人が分離独立運動の強硬派と繋がっている限り、うまくいかない可能性がある。 最後に残る疑問は、LTTEの最後の抵抗の時期に、実際に何が起きたのか私たちがどれだけ知っているか、という点だ。内戦の最終段階において、信用できる情報を入手する

  • 留学生を苦しめる日本政府の勘違い

    今週のコラムニスト:李小牧 21年前の辛い思い出からこのコラムを再開することを許してほしい。 1988年2月、私は広東省深センでデザインの勉強をする私費留学生として日に行くための準備費用7万元(当時のレートで約250万円)を握り締めていた。裁断工、服飾会社の営業マン、ナイトクラブのバックダンサー、モデル派遣会社の経営......。ありとあらゆる仕事を掛け持ちして、やっと手に入れた大金だ。 だがこのカネは飛行機代や留学仲介業者への支払い、日語学校の学費、アパートの敷金礼金であっという間に消える。すぐ朝の9時から夕方まで学校、その後は深夜2時、3時までバイトに追われる暮らしが始まった。あまりに時間がないので、夏休みにたまったデザインの課題72枚を一気に仕上げたこともあった。 当時は日政府の「留学生10万人受け入れ計画」が始まったばかりだったが、金銭的な援助を受けられるのはごく一部の学生だ

    留学生を苦しめる日本政府の勘違い
  • 1