だからがっかりしないで。匿名で悪口を言い続けて。
私は布のことを何も知らない。実家を出てからというもの、一度もカーテンを使ったことがない。これまで、京都、大阪、東京など、あちこちのマンションおよびアパートおよび一軒家に住んできたが、常に窓はむきだしのままだった。プライバシーという発想のない空間である。 布のないことは当然だったから、違和感もなかった。たまに人が来て、「わ! カーテンがない!」と、おどろいていくだけだ。しかし、杉松宅での七年にわたる居候生活によって、人間の文化的な生活が布とともにあることを知った。窓があれば布をかける。これがカーテンである。床があれば布を敷く。これがカーペットである。なるほど、と思った。 とくに、杉松という女は布を使うのがうまかった。新しい布がいつのまにか部屋の一角で存在感を発揮していることがよくあった。そのことを指摘すると杉松は言った。 「まあ、あたしは布使いだからね」 この名称は、ゲームにありそうでなかっ
私は、「無駄なもの」を作ってお金をもらっている。 意味不明だと思うが、なにかの暗喩でもなく、文字通り「無駄を作る」ことを仕事にしている。 2013年、YouTuberという言葉が世間に浸透する少し前、私はYouTubeのアカウントを取得した。チャンネル名を「無駄づくり」とし、ただ無駄なものを作っている様子をアップロードし続けている。 どういった物を作っているかというと、「歩くたびにおっぱいが大きくなる靴」や「社会人のための会社を休む理由をランダムで生成するマシーン」などだ。 どちらも、本当に不必要なものだが、テレビで取り上げられたりTwitterでリツイートされたりして、メディアを中心に拡散されていった。 2013年から4年間、計200個以上の無駄なものを作った。我ながらヤバいやつだなと思う。 なぜ無駄なものをつくっているのか? 活動の紹介をすると、「なぜ無駄なものを作っているんですか?」
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