最近、日本経済の先行きについての1つの懸念材料として、経常収支黒字の減少、もしくは貿易収支赤字の拡大という問題が脚光を浴びている。そして、その背景にあるのが「日本企業の競争力低下」である。 まず確認をしておきたいのだが、日本の経常収支が減少し始めたのはここ数か月ではない。それにも関わらず、経常収支がクローズアップされているのは、今年にはいって日本の株式市場のパフォーマンスは冴えないためであると考えられる。これには、昨年の株価の上昇が「アベノミクス」成功の象徴であった丁度裏返しで、今年に入ってからの株価の不調が「アベノミクス」失敗の予兆として取り上げられる頻度が高まっているという事情がある。 日本の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)は、2月28日時点で1211.66ポイントだが、これは昨年12月30日の大納会の1302.29ポイントから約7%の下落である。この株価指数の下げの一