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2013年10月20日のブックマーク (5件)

  • The Red Diptych 奇書探訪(3)――ギュスタヴ・フローベール『ブヴァールとペキュシェ』

    もうだいぶ昔、十九世紀の西洋文学を読み進め始めた頃に初めてその存在を知って非常に驚いたのが、かつて「筆耕」という職業が存在したということだった。  よくよく考えてみれば、当たり前のことではある。会社や役所というものは、だいぶ昔から存在した。しかし一方で、コピー機などというものは比較的最近の発明だろう。そして、会社なり役所なりが運営される以上、手書きの文書が毎日毎日際限なく生産され、清書されたり複写されたりする必要がある。  するとどうなるか。写すのである、肉筆で。ただひたすらそれをやり続ける職業が、すなわち筆耕である。  現在の感覚からすると、ほとんど拷問のようなものなのではないか……などと思ったのだが、今となっては、当時の感覚はもはやわからなくなっているのかもしれない(だいたい、会社にコンピュータがなかった頃のことすら、既に我々の多くは思い出すことが困難にありつつあるではないか)。  絶

  • 歴史にして現在『有害コミック撲滅!』 - 漫棚通信ブログ版

    『有害コミック撲滅!』読みました。 ●デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(小野耕世/中山ゆかり訳、2012年岩波書店、4800円+税、amazon) 原題は「The Ten-Cent Plague: The Great Comic-Book Scare and How It Changed America」です。訳すと「10セントの悪疫:コミックブックへの恐怖がいかにアメリカを変えたか」という感じでしょうか。 昨年の邦訳発売と同時に買って読み始めたのですが、中断してました。その理由は登場する人名があまりに多いこと。 あ、これは読みとおすにはメモが必要っぽい、と気づいたときはかなり読み進んでしまってて、そのまま強引に読もうとして結局挫折しました。今回は最初からきちんとノートをとりながら再挑戦。いやー、勉強になりました。しかもおもしろい書はア

    歴史にして現在『有害コミック撲滅!』 - 漫棚通信ブログ版
  • '13読書日記40冊目 『ルソー・コレクション 政治』ルソー/解説・川出良枝 - Hello, How Low?

    ルソー・コレクション 政治 (白水iクラシックス) 作者: ジャン=ジャック・ルソー,遅塚忠躬,永見文雄出版社/メーカー: 白水社発売日: 2012/08/24メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る251p 「コルシカ国制案」、「ポーランド統治論」、川出先生の解説が収録されている。どちらも『社会契約論』を大枠にして、それを実際に一国の国制改革に実践しようとする計画となっている。『社会契約論』のなかでルソーは、特殊意志の部分的な集合から一般意志を顕現させるような法を与える(国制を与える)難題を、神的な能力を持ち道徳的にも優れた立法者へと委託したが、今回は言わばルソーがその立法者の役割を担っているようにみえる。『社会契約論』は俗説によれば、フランス革命に多大な影響を与え、実際その理論のラディカルさは革命にこそふさわしいような気もするが、今回の2つの国制案では、

    '13読書日記40冊目 『ルソー・コレクション 政治』ルソー/解説・川出良枝 - Hello, How Low?
  • 「公募展」をめぐって - ohnosakiko’s blog

    茂木健一郎による「国立新美術館」と「公募展」批判 - Togetter 公募展をめぐるツイートあれこれ - Togetter 会田誠とパルコキノシタの公募団体に対するやりとり - Togetter 脳科学者の茂木健一郎氏が国立新美術館で開催されていた『アメリカン・ポップアート展』に感動しつつ、その会場の隣で開催されていた公募団体展*1 を「ポリシーなし、キュレーションなし、単なる愛好者の団体」「「国立新美術館」でやる「公募展」が「アレ」なんてことは、まともなアート関係者はみなわかっているのに、誰もそれを言わない」「現代のアートにつながる文脈や批評性は、ないから」「あるのは年功序列と新陳代謝のない停滞」とコキおろしていたのに対し、Twitterでさまざまな反応が出ていた。 面白かったので、「公募展」で検索して出てきたtweetの中から、個人的に目に止まったものをピックアップし、勝手な補足や自

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  • 柳澤健『1985年のクラッシュ・ギャルズ』 - katosのブログ

    1985年のクラッシュ・ギャルズ 柳澤 健 文藝春秋 2011-09-13 売り上げランキング : 77807 Amazonで詳しく見る by G-Tools 以前から気になってはいたのだが、合場書評を書くのをきっかけに、ようやく読んだ。予想を超える抜群の面白さ。今年読んだの中でダントツ、いちばん魂を揺さぶられたである。1980年代の女子プロレスを圧倒的な高みに導いたクラッシュ・ギャルズの二人(長与千種、ライオネス飛鳥)と彼女たちを取り巻く多士済々の人間群像を描くノンフィクションだが、クラッシュの親衛隊から後に女子プロレス専門誌の記者になった一ファンの語りを冒頭および幕間に配することで、選手・業界・客の抜き差しならない関係全体を描き出すことに成功した。 いろいろ言いたいことが浮かぶが、書いている余裕がないので、印象に残った箇所をいくつか抜き書きしておくにとどめよう。 小学四年生の春

    柳澤健『1985年のクラッシュ・ギャルズ』 - katosのブログ