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ブックマーク / mandanatsusin.cocolog-nifty.com (10)

  • 魅惑の会話劇『子供はわかってあげない』 - 漫棚通信ブログ版

    登場人物がみんなしゃべりっぱなし。しかもこれが楽しい楽しい。 ●田島列島『子供はわかってあげない』上下巻(2014年講談社、各630円+税、amazon) タイトルはもちろんトリュフォーの映画「大人は判ってくれない」のもじり。 マンガというのは小さな物語の集積からできている。これに気づいたのは比較的最近のことです。かつては自分もよくわかってなかった。ひとつひとつの小さな物語、それぞれのシーンをいかにしておもしろく見せるか。 それはハデなアクションかもしれません。登場人物のキザな身ぶりとセリフかもしれません。しかし書では、登場人物のダイアログ。モノローグじゃなくて会話。これがどれもこれもすげー。書では勢いのあるダイアログこそ、物語を牽引する力です。 主人公は高校二年、水泳部のサクタさん(♀)。(1)サクタさんが生き別れの父を捜す話。(2)新興宗教団体での現金盗難事件。(3)サクタさんと書

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  • 歴史にして現在『有害コミック撲滅!』 - 漫棚通信ブログ版

    『有害コミック撲滅!』読みました。 ●デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(小野耕世/中山ゆかり訳、2012年岩波書店、4800円+税、amazon) 原題は「The Ten-Cent Plague: The Great Comic-Book Scare and How It Changed America」です。訳すと「10セントの悪疫:コミックブックへの恐怖がいかにアメリカを変えたか」という感じでしょうか。 昨年の邦訳発売と同時に買って読み始めたのですが、中断してました。その理由は登場する人名があまりに多いこと。 あ、これは読みとおすにはメモが必要っぽい、と気づいたときはかなり読み進んでしまってて、そのまま強引に読もうとして結局挫折しました。今回は最初からきちんとノートをとりながら再挑戦。いやー、勉強になりました。しかもおもしろい書はア

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  • 恐怖の『花のズボラ飯』 ゴロさんは実在しない - 漫棚通信ブログ版

    ●久住昌之/水沢悦子『花のズボラ飯』1・2巻(2010・2012年秋田書店、各900円+税、amazon) 医療系有名ブロガーであるところのNATROM先生のブログを読んでおりましたら、左サイドバーに【お勧め】という欄がありまして、そこに衝撃的な文章が。 ■花のズボラ飯(2):ゴロさんが実在しないと仮定するだけで恐怖コミックに。 がーん。そうか、ゴロさんは実在しないのだ。 いやじつはわが家では『花のズボラ飯』の評判が悪くて。まあ主人公のべかたが気にいらん、というのが大きな要因ではあるのですが、もひとつ。花ちゃんは、書店員だけどバイト。子供もいない準専業主婦。それなのになぜダンナを単身赴任させているのか。これが大きな謎であるからです。いっしょについて行ったらええやん。 しかも書はほとんどが主人公のモノローグで進められてる作品なのでいろいろと謎が多く、ゴロさんや花ちゃんの状況が読者に隠さ

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    namawakari
    namawakari 2012/04/16
    なるほろ。
  • ドラえもんリスペクト『ぼくらのよあけ』 - 漫棚通信ブログ版

    今井哲也『ぼくらのよあけ』が全二巻で完結。 ●今井哲也『ぼくらのよあけ』1・2巻(2011年講談社、各619円+税、amazon) 月刊誌連載10回分できっちりと終わり。こういうのは気持ちがいいですね。 小学生が主人公のSFです。昔の言葉でいうとジュヴナイルSFですな。時代は近未来の2038年、舞台は日の「団地」です。 2038年の子どもたちはけっこう窮屈な人生を送っています。教科書はタブレット型端末になりケータイは今より格段に進歩していますが、子どもたちは現代以上に「空気を読む」能力が求められ、イジメは相変わらず。 著者はこのあたりをねちっこく描写します。子ども社会はいつの時代もけっして楽園じゃないんだよね。そこを逃げずに描いてる。ここ、うまいなあ。 主人公は小学四年生男子・ゆうま。家にはお手伝いロボットのナナコがいます。夏のある日、ナナコが故障? ヘンになってしまったナナコに連れられ

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  • 手塚伝説の証言者たち『神様の伴走者』 - 漫棚通信ブログ版

    佐藤敏章『神様の伴走者 手塚番13+2』(2010年小学館、1300円+税、amazon)読みました。 かつて小学館「ビッグコミック」編集長をされていた著者が、手塚治虫を担当した各社の編集者たちにインタビューした記録。著者がほとんどひとりで編集していた不定期刊雑誌「ビッグコミック1(ONE)」に連載されていたものです。 書でインタビューされてるのは「手塚番」と呼ばれていたマンガ編集者13人と、手塚のマネージャーとなった松谷孝征、非職業的臨時アシスタントだった藤子不二雄A。 雑誌連載中にわたしも一部を読んでいましたが、書籍にまとまるにあたって雑誌掲載より文章量が多くなってて、いやー、すばらしいになりました。 すばらしいというのは(1)マンガ史的に貴重な記録であるのと同時に、(2)手塚マンガをめぐるひとびとの一種「感動的」なエピソードになってるからです。 手塚先生、わたしなどのように外側か

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  • こまわり君はどこへ行くのか - 漫棚通信ブログ版

    山上たつひこ『中春こまわり君』2巻(2010年小学館、1143円+税、amazon)が発売されているわけですが。 2004年にこまわり君が復活して、すでに6年が経過。1巻の収録作品は4年以上かけて描かれたものですが、この2巻収録分は1年かからずに描かれています。山上たつひこは、マンガ家として格的に復帰したといっていいのでしょう。 すでにこまわり君は狂騒的なギャグ世界の住人ではありません。を持ち子を持ち、常識を持った会社員としてきちんとした生活をおくっています。もちろんギャグは昔取った杵柄というもので、名人芸というか古典芸能化しているというか、ちゃんと笑えます。 1巻2巻をとおして読んで、新こまわり君のパターンはふたつ。ひとつはキャラクターたちがああだこうだとかけ合いながらギャグを見せるパターン。かつての『がきデカ』と同様ですな。とくにかつてのキャラクターを知ってる高年齢読者にはたまらな

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    namawakari
    namawakari 2010/05/08
    成長したその後を描く。結構重要なテーマだとおもう。
  • 本年初秋のマンガ論@web - 漫棚通信ブログ版

    この9月ネット上の文章などで、マンガ関連で注目すべきいろいろ。最近のWEB スナイパーは、はずせませんね。 ●少女漫画における起承転結 作=小島アジコ 批評性もあるすっげえお下劣なエロ四コマ。 ●少年漫画における起承転結 作=小島アジコ 批評性もあるすっげえお下劣な(以下略)。 ●よくよく考えてみたら膨大な数を読んでいた四コマ漫画についてざっくりと語っておこう 文=永山薫 とくにいしいひさいち・植田まさし以後を細かく記述した四コママンガ論。それ以前については清水勲『四コマ漫画 北斎から「萌え」まで 』(2009年岩波新書)もどうぞ。 ●四コマ漫画の巨匠・植田まさしを読み解く! 来るべき植田まさし批評のために 文=ばるぼら 永山薫による「植田まさしを決して舐めてはいけない」という一文に対するアンサーソングのような文章。植田まさしのデビュー作の謎を追った部分などさらっと書いてありますが、どれだ

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  • 限りなく大きなテーマ『ZOOKEEPER 』 - 漫棚通信ブログ版

    青木幸子『ZOOKEEPER 』が全八巻(2006年~2009年講談社、各514円~533円+税、amazon、bk1)で完結しました。最後まで全力で走りきりましたね。 同じ講談社「イブニング」の『もやしもん』も最初は、菌を見る超能力を持った主人公が農大でおこる珍事件・難事件をたちどころに解決! という設定だったのでしょうか。最近は主人公のカゲがすっかり薄くなってますねー。 『ZOOKEEPER 』も似た設定で始まりました。温度を目視する超能力を持った動物園の新米飼育員(♀)が、動物や人間たちのさまざまな事件をその能力で解決してゆく。 ただしこの能力、ずいぶん地味でして、要は赤外線カメラ/サーモグラフィみたいなもの。主人公の能力でハデな結果を得ることもたまにありますが、通常は動物の病気を早期発見したり、ヒトがウソついてるかとか怒ってるとかを判断できるぐらい。まあ言ってみれば「観察力が鋭い」

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  • オールタイムベスト『この世界の片隅に』 - 漫棚通信ブログ版

    いやすごいものを読みました。 『夕凪の街 桜の国』(2004年双葉社)でヒロシマを描いたこうの史代。彼女が再度戦争にいどんだ作品が、ついに完結しました。 ●こうの史代『この世界の片隅に』上中下巻(2008年~2009年双葉社、各648円、amazon、bk1) 上巻・中巻で描かれるのは、昭和19年に広島から呉に18歳で嫁いできた主人公、すずの日常です。 絵を描くのが大好き、あわて者だけど明るくくじけない彼女の生活が、戦時下でありながらユーモアを忘れずにたんたんと描写されます。 しかしわたしたちは知っています。呉は軍港の街。昭和20年には空襲で壊滅的打撃をうけることを。そしてその八月にはヒロシマに原爆が落とされることを。 下巻で描かれるであろう空襲と原爆のときに向けて、上巻・中巻はゆっくりと時間を進めてゆく。 ですから、今回発売された下巻のカバーイラストを見て、まずはほっとするのです。ショー

    オールタイムベスト『この世界の片隅に』 - 漫棚通信ブログ版
    namawakari
    namawakari 2009/05/03
    ぜひ読みたい、いや、読む。/読んだ。手紙の書き手はそういうことか。
  • 論争歓迎 - 漫棚通信ブログ版

    竹内オサム『流!マンガ学 マンガ研究ハンドブック』(2009年晃洋書房、2300円+税、amazon、bk1)読みました。 田中秀臣氏のブログで、『マンガ批評界の「派閥争い」が一読明瞭』と書かれて一部で有名になりました。 じつは書は「反論」として書かれていまして、単独では理解しづらいです。少なくとも、著者による『マンガ表現学入門』、夏目房之介『マンガ学への挑戦』、伊藤剛『テヅカイズデッド』、霜月たかなか編『誕生!手塚治虫』に収録されている宮大人『マンガと乗り物 「新宝島」とそれ以前』などは読んでいたほうがいいでしょう。というくらい、読者を選ぶではあります。 書で書かれてることのひとつは、伊藤剛・宮大人・夏目房之介らによる竹内オサム批判に対する反論。ただし、今回初めて書かれたものではなく、かつて著者が個人誌に発表してきた文章の再録です。 もひとつは、自分がこれまで書いてきたすば

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