うどんのルーツは中国ではなく、日本だった?――うどんは、日本で独自にできた食べ物とする新説を、伝承料理研究家の奥村彪生(あやお)さん(71)が30年がかりの現地調査でまとめた。これまで、うどんは漢字表記の変化などから、中国のワンタンが原型というのが有力な説だった。 ワンタンの中国表記である「コントン」のコンは、食へんに「昆」と書き、トンは饂飩(うどん)の飩。だが、コンを食へんに「軍」と書くことがあり、ウントン、ウンドンとも読む。これが読みの同じ温飩になり、饂飩に変わった――。この説は、昭和初期の中国研究者・故青木正児(まさる)京都大教授が「饂飩の歴史」という論文で発表し、広まった。 だが、奥村さんはこの説に疑問を持ち、中国の二十数都市でめん料理を現地調査した。日本の文献にあるめん料理の製法とも比べた。 その結果、中国には、めんを湯につけて温め、付け汁につけて食べる、うどん本来の食べ方