阿部賢一訳 第1幕 枢密顧問官 第1場 (包帯を巻かれた三人の患者) 患者1 ペストったらペストだ。うちの通りにある家はどこも、ペストにかかってる奴が何人もいる。おい、お前もあごに白い斑点ができてるぞ。ある奴は元気で、何ともなかったというのに、次の日には、俺みたいに、体から肉がすっかりそげ落ちてしまったらしい。これはペストだ。 患者2 ペストじゃない、ハンセン病だ。〈白い病〉とも呼ばれている、だが、天罰と言うべきだな。何の理由もなく、こういう病気にかかるわけがない。神さまが私たちを罰しているんだ。 患者3 ああ、神よ――神よ――神よ―― 患者1 天罰か! 天罰とは! いったい、この俺が何をしたからといって、天罰を受けるというんだ。たいしていい生活もしてない、知ってるのは貧乏暮らしだけ。貧しい連中を罰する神さまがいるとしたら、よっぽど変わり者の神じゃないか? 患者2 まあまあ、よく考えるがい
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