新卒で入社した会社は新人教育が割と手厚く、 「新人のうちにたくさんの人から話を聴きなさい」 と、会社の役員と新人3人で60分ほどお話できる機会を設定してくれた。 僕は大きな会社で出世した役員はとんでもなくすごい人なんだろうな、と目を輝かせて役員の元を訪れた。 用意された会議室に威風堂々と座る役員には言葉にできない覇気があって、 新人の僕は終始圧倒されっぱなしだった。 「下手なことを言ったら入社早々クビだな」 と恐れおののき、失言だけはするまいと覚悟を決めた。 名前は忘れたが偉い役員の人は穏やかな口調で、これからの仕事のコツのようなものを丁寧に説明してくれた気がする。 正直ほとんど覚えていない。 談話の最後に、新人から役員に質問できる時間があった。 新人の頃の僕は実力はゼロだが意識だけは天に昇るほど高かったので、一番に手を上げて質問した。 「本日は貴重なお話をありがとうございました。 名前を
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