私が仁藤さんの名前を知ったのは、2016年に女性たち自らが企画した、「私たちは『買われた』展」だ。女性たちが自らの体験を文章にし、思いを写真にして展示したもので、今も各地で行われている。ブランドものほしさ、遊ぶ金ほしさに「売っている」と考えられていた女性たちが必死に出した声。「売った」のではなく「買われた」と言いかえることで見えてきたことはあまりに大きかった。 「買う男の人は率直にキモイです。あの人たちは女の人を下に見ているから」 仁藤さんを通して、そんな話をしてくれる女性たちに会ってきた。「ご飯をごちそうする」と言われコンビニでおにぎりを1個もらい、そのまま男の家に連れて行かれた女の子の話は強烈だった。中学生にしか見えない彼女の手をにぎり、堂々と交番の前を歩いたという。そういう男たちのずるさ、傲慢さ、暴力性を「キモイ」と力強く表現することが、彼女たちの唯一の抵抗でもあった。 仁藤さんに話