犯罪はいつも加害者と被害者を生む。それが殺人事件である場合、被害者は既に死亡しているわけだから、加害者と被害者遺族にスポットライトがあたることになる。しかし、そこにもうひとつ、その犯罪の犠牲者ともいうべき人々が存在する。それが加害者家族である。 かれらはマスコミの執拗な追求を受け、ネットで個人情報を晒されて攻撃され、いやおうなく生活を崩壊させていくことになる。鈴木伸元『加害者家族』はそんな加害者家族に光をあてためずらしいルポルタージュだ。 この一冊から浮かび上がってくる加害者家族の姿は、悲惨というひとことに尽きる。なぜなら、加害者そのひとが刑務所の中で、ある意味では「保護」されるのに対し、加害者家族は一切の保護を受けることなく「世間」の攻撃に晒されるからである。