日本の「建築に対する意識の低さ」と「建築家の責任」 石山友美氏(以下、石山):今回のイベントのテーマは「建築家の社会的な役割」ということで、映画の終着地も「建築家というのは社会にとって何なんだろう」というのを考える内容になっています。伊東(豊雄)さんも安藤(忠雄)さんも、日本においては建築家が社会から認知されていない、認められていないというのを「空しく感じる」というような発言があったんですけど、それに関しては共感しますか? 坂茂氏(以下、坂):すごくそう思いますね。例えば、「ポンピドゥ・センター・メッス」はフランスのメッス市につくったんですね。それで、街を歩いていると「うちの街にこんな素敵な建築をつくってくれてありがとう」と、見ず知らずの市民の人が声を掛けてきてくれるんですよ。日本じゃありえないですね。 逆に、日本では何が起こっているかと言えば、例えば中央都市へ行ってタクシーに乗って、立派