スティックが何本にも見えるような超絶技巧を披露したと思えば、たった1回「ポン」とたたくだけで場の空気を変えられる。それが、プロの打楽器奏者だ。でもリズムに敏感すぎて、日常生活では絶対音感ならぬ「絶対リズム感」に振り回されることもあるとか。音にこだわるあまり、「日本有数の楽器持ち」になったパーカッショニストの神田佳子さん(47)に、実演を交えながら打楽器奏者の知られざる姿を尋ねた。 「絶対リズム感」 幼い頃から、メロディーよりリズムが気になって仕方なかった。幼稚園の時、音楽教室で鈴の係になったことがある。周りの子は「シャンシャン」と音を鳴らすのが心地よくて、どんどんリズムが速くなっていった。「それが気になって仕方なかったんです。(周りの子に)合わせないといけないけど、本当はもっとゆっくりしたリズムがいいのに、って」 リズムに意識が向くあまり、今では何でも「リズム」に聞こえて苦労することもある