21世紀に入ってからの世界経済の際立った特徴の一つとして、産業活動のグローバル化を背景とした新興国の台頭が挙げられる。それにともなって、先進国と新興国の経済格差、いわゆる「南北格差」も縮小してきていることが推定される。以下では、そうした動きを改めて検証してみたい。 国家間の格差は縮小傾向に 一国内の個人間や世帯間の格差の度合いを表す代表的な指標として「ジニ係数」が知られている。同係数は、構成員全員の所得が均等である状態は0、一人がすべてを独占している状態は1となり、数値が大きいほど格差が大きいとされる。図表1は、同係数の考え方を国家間の経済格差の測定に適用して算出した「国家間ジニ係数」の推移を示している。これは、世界全体を一つの国に見立ててジニ係数を算出したものであるが、各国の国民一人一人の所得が一人当たりGDPで均等であると仮定することで、各国内の格差の要素を排除し、国家間の格差だけを抽