過剰在庫の解消や成長の新しいけん引役としての期待を背景に、習近平政権は「一帯一路」の実現に注力している。国内の過度な期待を抑えつつ、関係諸国との協調重視を貫くことが求められる。 ■近年の成長鈍化と在庫圧力の増大が背景 中国経済は、2012年以降成長鈍化が続いており、直近に限れば目標とする+7%成長の維持さえ危ぶまれる状況となっている。それに伴って、一部の業種では過剰設備問題が顕在化しており、増大する過剰在庫の解消が喫緊の課題となっている。 例えば、建設等で用いられる鋼材について、一定期間内の売上高の対生産高比を示す販売率でみると、15年1~3月期は95.8%と、過去最低水準に落ち込んだ。また、中国鋼鉄工業協会が発表した15年6月時点の会員企業の鋼材在庫は、2月に次ぐ過去2番目の高水準であった。これらのデータから、中国国内の鋼材需要が落ち込み、在庫が積み上がっていることがうかがえる。 こうし